教員・学生の視座から語る
「ゼミ・研究室」
AGU Lecture
思考力・判断力・表現力を培い、主体的に協働し、学びや研究を深化
『AGU NEWS』では大学広報誌創刊時から、本学が誇る授業や取り組みを「Lecture」として紹介しています。時代の変化とともに「主体的・対話的で深い学び」の重要度が増すにつれ、「Lecture」の名を冠した連載企画もゼミナール(ゼミ)や研究室を中心に、教員と学生それぞれの視座からお伝えする形へと進化してきました。今回は2018年からウェブコンテンツとして内容が深化した「AGU Lecture」のゼミ・研究室の総集編をお届けします。
本ゼミでは、19世紀のフランス⽂学とフランスにおける美術の関係性について学んでいます。美術展で絵画の名作を鑑賞する機会を設けるなど、当時の時代背景に触れ、深く知ることができます。福⽥准教授はふだん⾃明のものとしている「⾔葉」や「⾔語的ふるまい」を相対化して考えてほしいという思いで、2021年度のテーマを「19世紀のフランスにおけるジャポニスム」として設定しました。酒井さんはこうしたゼミでの学びを通じ、⽇本⽂化にもアンテナが向くようになったと語ります。
を学び、文化への感受性を磨く
フランス文学科
福田 美雪 准教授 × 酒井 李奈
18〜19世紀のイギリス帝国史を専⾨とする稲垣准教授のゼミで、学⽣はさまざまなテーマについて幅広く研究しています。⽂献講読と⽂章を書く実習が中⼼となっており、それぞれの活動においてディスカッションを多く取り⼊れています。稲垣准教授は歴史学を学⽣に体得してもらうことを⽬的に、関⼼に沿った論⽂を学⽣⾃⾝に選んでもらうことを重視していると語ります。伊藤さんはディスカッションを通してさまざまな視点や意⾒に触れることができ、毎回新しい気付きがあると⽬を輝かせます。
⾃分と異なる他者に向き合う
史学科
稲垣 春樹 准教授 × 伊藤 真⼦
長谷川ゼミでは、授業開発や教材開発、国語をはじめとする教科教育に関する研究を中心に論理的表現力の向上を図りながら活動しています。ゼミ生の半数ほどは国語科の教員を志望していますが、最近では社会科や英語科を研究対象とする学生も所属しており、それぞれの興味や希望進路に応じて学びを深めています。本ゼミでは意思決定までの過程を大切にし、自分が納得して自分自身の道を選択できるよう「丁寧に学生の話を聞くことを心掛けています」と長谷川教授は語ります。ゼミ生の高橋さんは、考察を書き進める中で論理的に考えを構築する力などが身に付いたと2年間にわたるゼミでの成果を実感しています。
論理的表現力を高める
教育学科
長谷川 祥子 教授 × 高橋 南帆
コミュニケーションをテーマとする繁桝江⾥准教授のゼミでは、ゼミ⽣同⼠のディスカッションが盛んです。⾃分以外の学⽣の研究にも興味を持ち、進んで視野を広げています。そんな繁桝ゼミでの研究の様⼦や、繁桝准教授が指導において⼼掛けていること、研究を通してゼミ⽣たちに会得してもらいたいことをお聞きしました。また、2019年度のゼミ代表を務めた栁⽣澪央さんには、繁桝ゼミを選んだ動機、ゼミで学ぶ⾯⽩さなどを伺いました。
対⼈コミュニケーション
⼼理学科
繁桝 江⾥ 准教授 × 栁⽣ 澪央
現代経済デザイン学科では、誰もが暮らしやすい社会にするための経済システム(制度)について「公共」の視点からデザイン(設計)することを⽬指しています。⻄川ゼミでは学⽣の⾃主性を重視し、幅広い観点から研究テーマに取り組んでいます。⻄川教授が描くのは、それぞれの個性が伸びるゼミ。⼤藤さんは「ゼミ⽣は皆個性が強く、意⾒をまとめるのに苦労することもありますが、お互いを尊重し、理解し合うことで絆が深まってくると感じています」と語ります。
地⽅財政
現代経済デザイン学科
⻄川 雅史 教授 × ⼤藤 岬
このゼミがテーマとする「国際⼈権法」とは、国際法の中でも⼈権保障を対象としたものです。第⼆次世界⼤戦に対する反省を背景として⽣まれたもので、⽇本も多くの⼈権条約を批准しています。本ゼミが掲げるテーマは、「国際⼈権法を国内でどう活かすか」。⼈権保障に関する国際法を、国内の⼈権問題解決のためどう活かせるか、ということを研究します。国際⼈権法は「国際」の名を冠しているとはいえ、国内法と重なる「⼈権問題」を扱うという意味で⾝近な分野だと申教授は強調します。
法学科
申 惠丰 教授 × 宮⽥ 祐 × ⽥中 美有
芳賀ゼミは「マーケティング戦略」を主たるテーマとし、輪読をベースに学びを深めています。3年次では企業や組織を取り巻くマーケティング環境を理解するための基礎を固め、4年次では各自の問題意識に基づいて卒業論文を仕上げます。多種多様な企業のマーケティング戦略に対する分析力を鍛え、マーケット環境に応じた戦略を自ら提案できる能力を身に付けることを目指し、ゼミ生はそれぞれの興味に応じて活発に活動しています。
論理的思考力を2年間で身に付ける
マーケティング学科
芳賀 康浩 教授 × ⼩⼭ 奈緒
マーケティング学科ではProject Based Learning(PBL)形式の授業を取り⼊れ、問題を発⾒し解決する能⼒を養います。横⼭ゼミが実践するのは、⽂系ではめずらしいデータ分析中⼼の研究。企業が実際に⽤いるデータを扱い、実践⼒を⾝に付けていきます。「企業は、データを分析できる能⼒やそれに基づく意思決定ができる⼈材を求めていると感じています」と語る横⼭准教授。まさにそのようなスキルを⾝に付けた⼈材の育成を、横⼭ゼミでは⽬指しています。
マーケティング学科
横⼭ 暁 准教授 × 永⽥ 佳奈
抱井ゼミでは「多⽂化社会の諸相」というテーマを掲げ、多⽂化に暮らす⼈々の経験を探ります。⽂化的・制度的・歴史的コンテクストと、個⼈の⼼理プロセスの相互作⽤から発⽣する社会⽂化的アプローチを⼿がかりに、国籍や⺠族などの差異による多様性をポジティブに捉えていきます。「社会調査⼠」の資格取得を⽬指すゼミでもあるため、学⽣は社会科学の研究⽅法も並⾏して学びます。また、海外のデータベースを⽤い、英語でも研究法に触れています。
国際コミュニケーション学科
抱井 尚⼦ 教授 × ⼤勝 杏奈
⽂化基礎演習として、前期はゼミ名となっている「現代演劇の〈現場〉/〈プロジェクト〉としての演劇」にふさわしいテキストを読みます。後期は、国家はなぜ芸術・⽂化活動をサポートする必要があるのかを原理原則から考えます。ゼミ⽣には、⾝体表現であるダンスやバレエ、演劇などを実際に⾏っている、または過去に⾏っていたという学⽣が少なくありません。福井さんもその⼀⼈で、幅広く演劇について学べると、⽵内ゼミの魅⼒を語ります。
〈プロジェクト〉としての演劇
総合⽂化政策学科
⽵内 孝宏 教授 × 福井 みゆう
坂本研究室で開発された速報実証衛星「ARICA」が、JAXAのイプシロンロケット5号機で2021年11⽉に打ち上げられました。学⽣が主体となってARICAを開発・運⽤したその舞台裏について、⼤学院⽣の畑さんは「ものづくりをするのはとても⼤変でしたが、その分、期間内にやり遂げる⼒が⾝に付いたのかなと感じています」と語ります。学部⽣の鴨志⽥さんはプログラム⾔語のPythonを独学で⾝に付け、ARICAから送られてくる情報を私たちが理解できるものに変換するプログラムをつくりました。
開発およびその打ち上げを振り返る
物理科学科
坂本 貴紀 教授 × 畑 泰代 × 鴨志⽥ ⼀真
物理科学科では物理学の概念や⼿法を基に、原⼦から宇宙までの⾃然現象を⽀配する「未知の法則」を探究しています。前⽥研究室では、レーザーなどを⽤いて原⼦を制御することを⽬標に、さまざまな実験を通じた研究を主要テーマとしています。学⽣の⾃主性を重んじ、独⾃性を尊び、独⽴⼼を養うことを重視する前⽥教授の指導の下、鈴⽊さんはストロンチウム原⼦のリュードベリ状態における精密レーザー・マイクロ波分光をテーマにした修⼠論⽂に取り組んでいます。
物理・数理学科
前⽥ はるか 教授 × 鈴⽊ 貴⼤
数理サイエンス学科では数学の基礎とともに数理科学に関する事柄について学び、数学を現実社会の諸問題の解決に役⽴てる⼒を養います。中⼭研究室では、幾何学の中でも「図形の性質」について調べる「位相幾何学」を研究。中⼭教授は「学⽣たちには、答えを教えてもらおうとせず、⾃ら考える⼒を付けてほしい」と語ります。安井さんは「中⼭研究室での学びを通じて、私⾃⾝、⾃ら研究を進めていく主体性を⼤いに伸ばすことができたと感じています」とゼミでの成果を伝えてくれました。
物理・数理学科
中⼭ 裕道 教授 × 安井 崇
化学・⽣命科学科では、有機化学、無機化学、分析化学、物理化学、⽣命科学の5分野を幅広く学び、最終的にいずれかの分野において⾼い専⾨性を⾝に付けることを⽬指しています。平⽥教授が指導教員を務める「脳科学研究室」では、動物を使った脳科学の研究を実施。運動神経がよくなるとはどういうことか? ⼼変わりをする時に脳の中で何が起きているのか? ⽼いるとはどういうことか? といった⽣命にまつわる「謎」を解明することがテーマです。
⼈間の病気や⽼化の解明に繋げる
化学・⽣命科学科
平⽥ 普三 教授 × 安⻄ 美玖
化学・⽣命科学科では、物質の本質と可能性を探究する「化学」を基に、⽣命現象の本質を探究する「⽣命科学」を融合した研究を進めています。諏訪研究室では膨⼤なデータベースを⽤い、ゲノムや遺伝⼦、タンパク質など⽣命に関わる情報を研究しています。主に⾏われているのは「バイオインフォマティクス」の⼿法を駆使し、⽣物の体内にある「膜タンパク質」という分⼦の構造やその働きを解明するための研究です。
化学・⽣命科学科
諏訪 牧⼦ 教授 × 蝦名 ⾥⽉
電気電⼦⼯学科では、進展するテクノロジーに対応していくための応⽤⼒と、イノベーション創出の源泉となる基礎⼒をバランスよく⾝に付けられるよう、多⾯的な学びを推進しています。電気電⼦⼯学科の⻩教授、橋本教授の指導の下、⼩菅さんは「原⼦1つ分」という極めて薄い炭素素材グラフェンを研究してきました。本学での研究の集⼤成として執筆した論⽂が、⽶国物理学協会発⾏のAIP Advancesに掲載後「Featured Article(journal's best)」にも選出され、有終の美を飾りました。
⾼効率の透明アンテナで通信の未来を開く
電気電⼦⼯学科
⻩ 晋⼆ 教授 × 橋本 修 教授 × ⼩菅 祥平
機械創造⼯学科では⾃動⾞産業や重⼯業などに不可⽋な広範囲の⼯学をベースに、ソフトウェア技術を組み合わせて実現する“夢のある心豊かなものづくり”を担う⼈材育成を⽬指しています。蓮沼准教授が指導教員を務める「材料強度学研究室」では、材料の強度について⽇々研究を重ねています。鉄道、航空機、建築物など私たちが⽇常的に利⽤するものには多くの材料が使われていますが、そうした「材料の強度」がこの研究室のテーマ。まさに材料の強度は、縁の下の⼒持ちのような存在なのです。
材料の強度研究
機械創造⼯学科
蓮沼 将太 准教授 × 加藤 裕太
情報テクノロジー学科では「デジタルメディア/CG・Web」「⾼度機械学習/AI」「⼈間情報学/XR」「ロボティクス/IoT」の4テクノロジー領域において、情報通信・ソフトウェア設計の基礎分野から⼈⼯知能、ロボット⼯学などの応⽤・関連分野まで、幅広い分野を実践的に学べます。中でも、森⽥准教授が指導教員を務める「知識⼯学研究室」では、⼈間の持つ知識を⼈⼯知能が利⽤できるようにする技術や、その知識を利⽤できるシステムの研究を進めています。
より賢くなる未来へ
情報テクノロジー学科
森⽥ 武史 准教授 × 澤村 勇輝
寺尾ゼミではデータサイエンスを⽤い、⼈の思考や⾏動について幅広く研究しています。ゼミ⽣は卒業研究のテーマを⾃由に選択することができますが、「必ずデータに基づいて主張する」という条件があります。こうしたゼミでの活動を通じ、データを駆使して読み解く⼒の涵養を⽬指しています。寺尾教授は「データを根拠に主張をする⼿法を⾝に付けることは、どのような分野に進んでも強みとなるでしょう」と語ります。
データに基づいて考えるスキルを磨く
社会情報学科
寺尾 敦 教授 × 並⽊ 翔平
社会情報学部では、人間について深く理解することも大きなテーマです。心理学科目があるのもそのためです。⾹川ゼミは⼼理学の中でも「⼼は⼈と⼈との関係の中に⽴ち現れる」と捉える「関係論」をベースに、“異質なものが交わる中で発⽣していく創造活動やコミュニティ”のあり⽅を研究します。またゼミでは、地域や社会の問題を深く考え、具体的に⾏動していくため、経済学や社会学、情報科学、哲学、場合によっては建築やアートなど、さまざまな知識を融合していく必要があるということも学びます。こうしたゼミでの実践的に学びについて⽊⽥さんは、自らの卒業研究のテーマである「地域の活性化」につなげたいと期待を寄せています。
社会情報学科
⾹川 秀太 准教授 × ⽊⽥ 圭祐
地球社会共⽣学部では世界中の人々と共に学び、共に働き、共に創るという「共⽣」マインドをキーワードに、ビジネスやメディアなど幅広い領域から学びを深めます。林ゼミでは、空間情報学の空間分析の⼿法を取り⼊れ、観光学をテーマに研究を推進。2020年度はコロナ禍により対⾯での“双⽅向型”研究はほぼできなかったため、オンラインでの専⾨書輪読や、新書を使った議論が⾏われました。むしろ意⾒を⾔いやすくなったためか、「対⾯時よりも活発な議論ができた印象がある」と林教授は評します。
バンコクの空間分析及び観光学全般
地球社会共⽣学科
林 拓也 教授 × 佐久⼭ 琳
菊池ゼミは、コミュニケーションから教育政策まで多様なジャンルを扱っているのが特⾊です。各ゼミ⽣の興味に合わせた研究ができるよう⼯夫されており、テレビドラマやコマーシャル、コミュニケーション、新聞記事、ネット社会をテーマに分析するなど、テーマは多岐にわたります。菊池准教授は「チャレンジ精神旺盛なゼミ⽣が多いため、なるべく細かいルールは設けず、興味のあることを伸び伸びと、そして集中して研究できるような指導を⼼がけています」と語ります。
⾔語習得、⾔語政策、教育政策
地球社会共⽣学科
菊池 尚代 准教授 × ⽵中 美貴
コミュニティ人間科学部では、地域社会そのものとそれを形づくる人々に関わる諸問題を知り、解決を図るための知識や技術を養います。フィールドワークを重視する本学部では少人数で行う「地域実習」を必修科目とし、座学で得たことを現場に生かし、現場での経験を自身の研究に反映する重層的な学びを実現しています。齋藤ゼミでは、日本各地におけるコミュニティ再創造の方策をゼミ生それぞれの視点から考察します。その過程で齋藤教授が大切にしていることは「対話」。「おしゃべり」や「議論」とは異なり、対等な関係で個性や考えの違いを開示し、違いを分かち合い楽しみながら話し合うことを重視しています。
他者とコミュニティをつくる力
コミュニティ⼈間科学科
齋藤 修三 教授 × ⼤阿久 春
本庄ゼミ1期生が3年生の時(2021年度)には「子どもの放課後研究」を進め、4年生の卒業論文につなげました。ゼミ2期生が3年生の時(2022年度)には「子どもと家庭教育に関する研究」を深め、議論を通して新たな視点を持つ体験を重ねています。ゼミ生の前川さんは「本庄先生がじっくり相談にのってくださるという心強さがあってのことですが」と前置きし、「授業の進め方や内容をゼミ生自身で決められることがこのゼミの大きな魅力」としています。
地域や⼈々の課題、変化を捉える
コミュニティ⼈間科学科
本庄 陽⼦ 准教授 × 前川 彩夏
※登場する人物の在籍年次や役職、活動内容等は取材時のものです。