特集 2
Interview

経済学部で学びを深めた学生たち

※写真左から須藤さん、水留さん、谷井さん、佐々木さん

4年間で培った経済学的視点を強みに、未来を見据えて取り組んだ就職活動

人生において大学進学はゴールでありません。経済学部で学びを深めた学生たちは、どんな思いで社会へ羽ばたくのでしょうか。2023年春から社会へ一歩踏み出した4人の学生に、経済学部での成長や就職活動の秘話を聞きました。

経済学部 現代経済デザイン学科 4年

須藤 稜太

千葉県立検見川高等学校出身

経済学部 現代経済デザイン学科 4年

水留 悠理

東京・私立日本女子大学附属高等学校出身

経済学部 経済学科 4年

谷井 穂乃風

千葉県立船橋東高等学校出身

経済学部 経済学科 4年

佐々木 快盛

秋田県立横手高等学校出身

本特集に登場する人物の在籍年次や役職、活動内容等はすべて取材時のものです。

在学生たちの座談会

■描く将来は十人十色。次のステップに向けた原動力とは。

――まずは皆さんが就職先を選んだ理由を教えてください。

水留 日常生活に欠かせない消費財を通じて、年代、性別を問わず多くの人を幸せにしたいと考え、飲料メーカーを志望しました。また大学時代からアメリカ留学やゴルフ部での活動など、さまざまなことに積極的に取り組んできたため、挑戦を後押しする社風やグローバルな環境に引かれたのも理由です。

谷井 誰かの人生のターニングポイントに寄り添う仕事がしたいと考え、人々のキャリア選択を支える人材業界を志望しました。また好奇心旺盛な性格なので、多様な仕事を経験できる環境も重視していたポイントです。さまざまな部署への配属を志望できる制度に魅力を感じ、入社を決めました。

佐々木 私の実家は秋田の農家で、将来は家業を継ぐつもりです。いつか一人前の農家として事業を担い発展させていくためには、ビジネスや金融の実践的な知識が必須だと考え、地元で信頼の厚い銀行への就職を決意しました。

須藤 私は大学3年生の夏から1年間アメリカへ留学しました。異文化での生活や、海外の友人と交流する中で改めて気付いたのは、日本の風景や文化の魅力です。特に、現地の友人を連れて日本に帰国した際、案内した長野県軽井沢の雄大な景色や伝統文化に喜んでくれた姿がとても印象的でした。もっと日本の各地域の魅力を世界中に伝えたいと考え、観光業を選択しました。

■試行錯誤しながら自分らしい将来を考えた就職活動。

――就職活動ではどのようなことを意識していましたか?

水留 視野を狭めず、なるべく幅広い業界・職業について理解を深めることです。それまで知らなかった職業や企業を調べる中で選択肢が広がり、自分の適性が見えてくるようになりました。青学は職業理解を深める機会が充実しています。特に青学生専用の進路就職支援システム「Web Ash」というサイトでは、先輩の就職先一覧や企業情報を知ることができ、大変参考になりました。

谷井 青学は学生へのサポートがとても手厚く、心強いですよね。夏休みには大学経由でインターンシップに参加できる機会もありました。参加後には進路・就職センターの方から、今後の課題やステップアップに向けて行うべきことなど丁寧なフィードバックをいただき、安心して就職活動を進められました。

須藤 水留さんと同じく視野を広げるため、企業や省庁など幅広い分野で働く卒業生の方々に連絡を取り、仕事内容や業界について教えていただきました。直接聞くからこそリアルな情報を得られ、職業理解がより深まったのを覚えています。また、先輩方の熱心な仕事観に触れることができ、就職に向けてのモチベーションが高まりました。

佐々木 私が意識していたのは、面接時の円滑なコミュニケーションです。経済学部のゼミや授業ではグループワークが多く、聞く力や伝える力が身に付きました。「うまく話せるだろうか」と不安になりがちな面接ですが、面接官からの質問の意図を見抜くことで的確な受け答えができ、自分らしさを伝えられたと思います。

――一方で大変だったことはありますか? それをどのように乗り越えたかどうかも教えてください。

谷井 「自分が本当にやりたいこと」を見つけるのに苦労しました。就職活動を始めた当初は明確な目標がなく、だんだん焦りを感じるように。そんなときに支えになったのは友人の存在です。悩みを相談することで心が軽くなり、客観的な視点から私の強みを教えてくれて自信につながりました。

須藤 私は留学から帰国してすぐに就職活動を始めなければならなかったので、頭の切り替えに苦労しました。そんな自分を心配したゼミの教授が親身に相談に乗ってくださったおかげで、気持ちが前向きになり短期間でも集中して取り組むことができました。

■経済学的視点が社会とつながった瞬間。

――経済学部で培った知識や経験で、就職活動に役立ったことはありますか?

谷井 授業で習得した簿記の知識が、企業の決算情報を読み解く上で役立ちました。知識がないと理解するのが難しい決算情報ですが、実は企業の強みや弱みを知ることができる貴重なデータです。そうした情報を根拠に面接で発言したことで、「データに基づいていて説得力がある」と評価していただきました。

水留 経済学は実社会とのつながりが強いからこそ、応用できる場面が多いですよね。私は、現代経済デザイン学科で地域経済を学んだ経験が大きいです。就職する飲料メーカーは全国に拠点があり、各地域との関係性が重要になります。授業を通して全国の地方自治体が抱えている問題や地域固有の文化に触れられたことは、これから働く上で大きなアドバンテージになると思います。

須藤 経済理論を用いながら、地域にスポットを当てて学べる点は現代経済デザイン学科ならではですよね。私もゼミで地方創生を学んだことから、地方の税制や街づくりに関心を持つようになりました。それがきっかけで、地方に関わりながら働きたいと思うようになったのかもしれません。

佐々木 私は実践的な知識とは少し異なるのですが、経済学部で養った論理的思考力が就職活動を効率的に進める上で役立ちました。マクロ経済学では「変数」「固定値」といった関数的な概念の下、「変数」を動かした際に得られる結果を考えます。この理論を就職活動に当てはめると、面接での話し方や振る舞い方はすぐに改善できる変数です。こうした観点で就職活動を行ったことで、着実に前進することができました。

――今後、社会でどのように活躍したいか、意気込みを教えてください。

谷井 今はライフプランや将来の夢に合わせて働き方を考えていく時代です。だからこそ、人材の仕事を通じて、一人一人の人生が豊かになるための手助けをしたいと思います。

佐々木 現時点での大きな目標は、農家という職業をより身近にすることです。若手の視点から農業の魅力を発信し、次世代を担っていきたいです。そのために、まずは就職先でスキルを高め、夢に一歩ずつ近づきたいと思っています。

水留 まずは仕事を一つ一つ覚えていきながら、将来は海外で活躍することが目標です。高い技術力を持つ日本のものづくりは、世界に誇れるものだと思います。その魅力を世界中の人に伝え、日本と世界の架け橋になりたいです。

須藤 私は観光を通じた日本の地域活性化に貢献したいと考えています。経済学部で身に付けた力を発揮しながら新たな知識を吸収し、地域の魅力をより多くの人に知ってもらうためのアイデアを生み出していきたいです。

在学生インタビュー

論理的思考力で経済の仕組みを「数値化」し、
社会問題にアプローチする

<2022年度 学業成績優秀者表彰 優秀賞受賞>
経済学部 現代経済デザイン学科 4年

鹿島 友里花

世界の貧困問題解決に何らかの形で関わりたいと思い続けてきた鹿島さんは、開発途上国の経済状況について学ぶため現代経済デザイン学科に進学。統計学と開発経済学の理解を深めつつ、グローバルな活躍をめざし日々励んでいます。

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夢中で学んだ先に見据える
グローバルな活躍と日本社会への貢献

経済学部 現代経済デザイン学科 4年

関口 景太

日本人として日本社会に貢献したいという思いがあったことから、現代経済デザイン学科に進学した関口さん。留学を機にビジネスパーソンとして世界を舞台に活躍することを心に誓い、卒業を迎えます。

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国際舞台で活躍する日を夢見て
イギリスの大学院進学を目指す

<2021年度 学業成績優秀者表彰 最優秀賞受賞>
経済学部 現代経済デザイン学科 4年

荘 禮陽

荘さんは「地域とコミュニティ」について学ぶ地域コースに所属し、人口に関する諸問題について研究しています。将来は国連で働くことを目標にイギリスの大学院進学を目指しており、知識の吸収に余念がありません。

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就活では海外インターンシップを経験。
世界を舞台に働く夢が叶う

経済学部 経済学科 4年

木村 聡太郎

木村さんは、海外インターンシップを経験することを目的にロンドンの大学に1年間留学しました。日本貿易振興機構(JETRO)ロンドン事務所で日本をPRする仕事に携わったことも糧となり、政府系機関への内定を決めました。

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ゼミインタビュー

公共選択論、地方財政

経済学部 現代経済デザイン学科

西川 雅史 教授 × 大藤 岬

現代経済デザイン学科では、誰もが暮らしやすい社会にするための経済システム(制度)について「公共」の視点からデザイン(設計)することを目指します。西川ゼミでは幅広い観点から研究テーマに取り組んでいます。

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卒業生インタビュー

「銀行員日本代表」として、和の心で人を繋ぐ

三菱UFJ銀行
ニューヨーク支店ヒューストン出張所
Vice President
経済学部卒業

鈴木 浩介

鈴木さんは米国テキサス州ヒューストンに駐在。この地に進出する日系企業に対し、融資を中心に経営課題の解決をサポートする業務を担っています。「お客様が喜び、仲間が喜ぶことが喜びであり、仕事のやりがい」と語ります。

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学部長からのメッセージ

経済学部長、経済学部 経済学科 教授

平出 尚道

専門:経済史学

■経済学は奥の深い、そして、探究心を誘う魅力的な学問です。

人間には強い探究心があります。そしてその探究心が大学を支えています。それでは、経済学部では何を探究するのでしょうか。唐突ですが、私には農地も道具も機械も技術もありません。ですから、亜麻や綿花を栽培し糸を紡ぎ布を織ることも、穀物や野菜を育て収穫し加工することもできません。それなのに、60年以上途切れることなく生きています。何も私だけではありません。流れた時は異なっていても、すべての人々が誕生から生存しているはずです。なぜできたのでしょうか。それを探究する場が経済学部です。考えてみてください。われわれがこれまでどのようにして存在してこられたのか、あるいは、存在してきたのかは、単純に説明できるものではありません。多くの要因に基づいているものです。ですから、本学部教員の研究テーマも実に多様です。このように、経済学は奥の深い学問です。そして、経済学は探究心を誘う魅力的な学問です。

各学科教員からのメッセージ

■経済活動が及ぼす環境への影響。未来に向けて今、できることは?

●環境経済学の魅力
経済学は従来、モノやサービスの市場での取引をより円滑化する提案を行うことで経済成長に貢献してきました。しかし日々の暮らしをもう少し詳しく眺めてみると、私たちはさまざまなモノやサービスを、市場を介さずとも環境から直接得ていることに気付くはずです。海や山でのレジャーはそのわかりやすい例のひとつでしょう。市場での取引が環境を毀損(きそん)してしまうものであっては、将来世代の利益を奪い取ることになります。環境経済学はこうした意識をもとに、環境への影響を含めて経済を分析する研究分野として1970年代後半から急速に発展しました。環境問題の多くは人間の経済活動が起因となっています。今では世界中で多くの研究者が多様な環境問題について研究しています。2021年の気候変動対策会議COP26が世界的に注目された通り、環境と経済の両立は現在、最もホットなテーマといえるでしょう。

●学生へのメッセージ
私自身は人々の消費行動が引き起こす環境問題とその是正策に関心を持っています。授業では省エネやリサイクルなど日々の生活に密接に関連した研究課題も多数取り上げます。「隗より始めよ」というのが私の研究スタイル。経済学の知識をもとに、興味を発展させ、地球環境保持と経済活動の関係を紐解いていきましょう。研究を通して人間の行動パターンなどを垣間見るのも、人の気持ちが理解できるようで楽しいものです。経済学的なものの見方を身に付ければ、さまざまな問題に直面した時にも大いに役立つことと思います。

経済学部 現代経済デザイン学科 准教授

田中 鮎夢

専門:グローバル経済、公共地域政策論(国際)、経済・金融事情(国際)、世界経済論

■生活を変える国際経済の波のダイナミクスを知る

●国際経済学の魅力
現在、社会を動かす経済は一国や一地域のみの範囲で検討することはできません。グローバル化の急速な進展は、世界の経済バランスを日々変動させています。それは一般の労働者にもさまざまな影響をもたらします。日本国内でも、外国人技能実習制度の是非、生産拠点の海外移転による働き場の減少、外資の進出など多くの研究テーマが考えられます。そうした課題の解決に取り組むには国際経済学に加え、労働経済学の知識も必要になります。私個人では今、ハワイ大学の教授と議論を重ねながら、共に膨大なデータを分析し、日本の労働者が賃金面からどんな影響を受けているかを探究し、外資系企業における男女間賃金格差の少なさなども明らかにしました。多国間の経済のダイナミックな動きが私たちの生活をどう変えるか。それを分析し、よりよい姿への解を求める考察こそが国際経済学の醍醐味なのです。

●学生へのメッセージ
経済学は文系の中でもとても国際化が進んでいる学問です。英語の論文を読むこともありますし、データ分析には統計学の知識や分析ソフトを使いこなす力も必要でしょう。最初は難しいかもしれませんが、理解が進めば面白くなることは間違いありません。幅広い分野に手を伸ばして新しい知識や考えに触れつつ、自身の研究テーマを見つけて深掘りしていくとよいでしょう。現代経済デザイン学科、そして国際経済学の学びには、深い探究の楽しさがあるということをぜひ知ってください。

教員インタビュー

現代社会に急速に広がる統計学と
今日のデータサイエンスに求められる統計リテラシー

経済学部 経済学科

川崎 玉恵 准教授

川崎准教授が行う研究は、膨大なビッグデータを統計的手法によって解析し、これまで見えてこなかった新たな視点を得るものです。統計リテラシーを有し、正しくデータを活用していく重要性を川崎准教授は語ります。

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数十年先の人口分布を町丁・字単位で予測し
都市計画や防災計画の基礎となるデータを提供する

経済学部 現代経済デザイン学科

井上 孝 教授

井上教授が取り組む研究は、全国における小地域(町丁・字)別に将来人口推計、およびそれに関するウェブシステムの構築に関するものです。井上教授が提案するのは、人口地理学の古典的な理論「人口ポテンシャル」の考えを取り入れた新しい手法です。

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塩から見る日本の経済史

経済学部 経済学科

落合 功 教授

“塩”を研究し続けて30年となる落合教授。塩を通して商人たちの活動や労働問題など、日本経済史のさまざまな側面が見えてくると語ります。そして一つの事を深く学ぶことで、また違った“世界”が見えてくるようです。

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理学博士が考えるSDGs
〜文明社会の持続可能性〜

経済学部 共通教育・外国語科目

岸田 一隆 教授

理化学研究所で素粒子・原子核物理学の研究に携わった岸田教授。現在研究しているテーマの一つに、「SDGs」があります。文明社会の持続可能性や学生と共に思案したSDGsに関するプロジェクトについて、岸田教授が解説します。

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