青学生の就職活動事情 2025
2025. 11. 27

青山・相模原各キャンパスに
おけるキャリア支援の現状
―「新卒採用担当者との集い
2025」より―
優秀な若手人材の早期確保を目指す企業が増え、就職活動の早期化、長期化が進む昨今、青学生は学業と両立しながらもどのように就職活動をしているのか――10月15日(水)本学のキャリア支援担当者と300名を超える企業の新卒採用担当者が相模原キャンパスに集い(オンライン参加も有)、青学生の就職活動の現状や早期化への対応、インターンシップに対する考え方などを共有しました。
進路・就職センター(青山キャンパス)
進路・就職部 部長
平井 昇
進路・就職センター(相模原キャンパス)
相模原事務部 進路・就職課 課長
関口 佳宏
■ 青学生の就職動向、就職活動の時期について
青山キャンパス(平井)
コロナ禍以降近年は大学生の採用状況は上向きに推移し、新卒学生の売り手市場の傾向は現在も続いています。本学の卒業生は、情報通信(IT)や金融・保険、小売、メーカーの順に進路選択の割合が高く、その他にコンサルティング、伝統的に人気の高い航空・観光業界をはじめ幅広い分野で活躍しています。
2024年度の進路決定率は前年比を上回り、大学院進学者も11.4%と前年比で2.1%増加しました。これは文系学部生の微増に加えて理工学部生の進学意欲が非常に高まっていることを示しています。現在の就職活動の時期は、保護者世代と比べるとその様相が大きく異なるとともにかなり早まっており、優秀な学生を早期に確保したい企業の意向が背景にあります。そのため、最近では大学3年次の夏からインターンシップ(オープン・カンパニー、キャリア教育を含む)を通じて、早い段階から学生と企業がつながり、事実上の選考が始まるスタイルが広がりつつあります。
私たち進路・就職センターではこうした動向を踏まえ、学生の指導やイベントの企画・開催を進めています。例えば、青山キャンパスでは、これまで3年(大学院修士1年)次の4月に行っていた就職セミナーを2年次の2025年3月末に開催し、会場に約650名、オンラインで約350名、合計1,000名もの学生が参加しました。採用の早期化やインターンシップ参加を意識して、各種情報の収集やテスト対策を低学年から準備する学生もいて、前年よりもインターンシップ段階で企業を絞り込む時期が早まっている印象です。多くの学生は内定決定後には卒業に向け卒業研究や、やり残したことの実行等に余念がありませんが、中にはより納得感を求めて就職活動を続ける学生もいます。就職活動の早期化・長期化により“就活疲れ”を感じる学生がいることも気掛かりですが、私たちはキャンパスライフを充実させながら希望する進路・就職の選択を実現できるよう、学生の声に耳を傾けてサポートを続けていきたいと思います。
相模原キャンパス(関口)
理工学部においては、大学院博士前期(修士)課程への進学率が、2023年度、2024年度と2年連続で学部全体の半数を超えています。その大半が、本学大学院への進学です。最先端の研究を行い、即戦力となり得る技術者養成を図るべく、「学部4年+大学院修士2年」の在籍を見据え、学部3年生になる段階で、大学院進学説明会を進路支援の一環として開催しています。一方、相模原キャンパスは、文系学生の方が多いことに鑑み、文系・理系両方に応じたキャリア支援を展開しています。近年は、就職活動の「早期化」が進み、学生は低学年のうちから就職を意識する傾向が見受けられています。
相模原キャンパスにおいても、青山キャンパス同様、学部3年生(大学院修士1年生)を対象にしたキャリアガイダンスを年度初めにオンラインで開催しました。そこには、相模原キャンパスに所属する学生の多くが参加し、今後の就職活動の進め方や就職活動スケジュールを伝えつつ、一方では、就職に対する意識の高さを改めて実感しました。「早期化」とともに、仕事内容や給与、勤務地など希望に合った就職先を求めて、長く活動を続ける「長期化」も見られています。私たちは、このような状況の中で学生一人ひとりが納得のいく進路を選択できるよう、きめ細やかな支援を行っています。
■ 青学生が企業を選ぶ際のポイントについて
青山キャンパス(平井)
近年の学生は就職活動において「勤務地や働く環境」を重視する傾向が強く見られます。
現在のライフスタイルを大きく変えずに働きたいという意識が背景にあるようですが、その一方で、例えば本学で培った英語力を生かして海外勤務を目指すなど、やりがいや成長の機会、豊かな自分らしいライフスタイルを求める学生も少なくありません。キャリア形成に対する意識も高く、入社後の福利厚生制度や資格取得支援、キャリアアップ制度の有無を重視する学生が増えています。また、インターンシップや選考を通じて企業の担当者と接する中で、人柄や企業の雰囲気を見極めようとする学生も多く見られます。
このような姿勢からは、単に条件面だけでなく、自分に合う環境を見つけたいという意識が感じられます。ただし、就職活動を進める中で、SNSやインターネットを活用して効率的に情報を集める一方、その情報を基に視野を広げていくことがあまり得意でない学生も見受けられます。その結果、内定獲得が目的化してしまい、自己の分析や業界研究が不十分になる傾向があります。学生に対して、得た情報をもとに関連業界や他企業との「つながり」にも目を向け、幅広く情報収集を行うように助言しています。視野を広げることで、思いもよらない分野や企業に出会い、自分に合った将来を見つけられる可能性が広がります。文系・理系を問わず、このような姿勢は自身の進路を考えるうえで大切なポイントの1つだと感じています。
相模原キャンパス(関口)
学生が就職先を選ぶポイントとして、「仕事内容」や「やりがい」の他、給与や勤務地などの「福利厚生面」を挙げています。5年後や10年後を見据えて、現実的にキャリアを考える傾向が強くなってきています。一方、企業選びの際に、就職エージェントを利用する学生が多くなってきています。上手に活用すれば就職活動を円滑に進めることができる可能性は高まりますが、任せきりになってしまって、企業研究や業界研究がおろそかになってしまい、結果、ミスマッチを生んでしまうケースが残念ながら見られています。
就職活動では、自己分析と業界理解を通じて自分の将来像を描き、自身の意志や理想とする将来像を明確に有することが大切です。そのような主体的な姿勢を持つ学生ほど、最終的に満足のいく結果を得ているようです。内定はゴールではなく、あくまでもキャリア形成の出発点であることを忘れずに、自分の可能性をより広げていってほしいと思います。
■ 就職活動のスタートラインともなり得ている「インターンシップ」とどのように向き合っているか
青山キャンパス(平井)
企業などへの就職を目指す場合、大学3年次のインターンシップ参加が事実上の選考スタートになることが多く、この時点で明確な進路意識を持つ学生は、志望する業界でのインターンシップを希望します。一方で、進路の方向性を模索中の学生は、有名企業を中心に幅広くエントリーする傾向があり、多い場合は10社前後に応募しているようです。しかし、業界や企業によっては本選考よりも狭き門で選考が通らずに焦りやモチベーション低下を感じる学生も少なくありません。とはいえ、インターンシップは就職活動の有効な一過程ですが、この段階で焦る必要はありません。実際に明確な目標を持って参加した学生であっても、実際の職場体験を通して方向転換をすることはありますし、その迷いや変化はむしろミスマッチを防ぐために必要なプロセスです。青山キャンパスの学生も、自分が働く可能性のある業界や企業の実態を知りたいという意識が強く、社員との交流や自身の進路選択や入社後の成長につながるアドバイスを得ることを期待しています。
ただ、インターンシップの参加にあたっては学業との両立も重要です。文系の学生もゼミナール活動や卒業論文の準備、サークルやアルバイトなど大学生活における大切な経験がありますので、それらを犠牲にしてほしくはありません。進路・就職センターでは、学業とのバランスを踏まえた参加指針を設け、やみくもに参加するのではなく、余裕のあるスケジュールで、必要性を学生自らが判断して参加するよう指導しています。さらに、近年は文系学部でも大学院進学率が少しずつ上昇しており、社会が高度な専門性を持つ人材を求めている現れともいえます。今後は博士課程を含む大学院生の就職支援にも一層目を向け、学生一人ひとりのキャリア形成を丁寧に支えていきたいと考えています。
相模原キャンパス(関口)
就職活動を少しでも円滑に進めたいとし、インターンシップに参加してみようとする学生が大変多いことを把握しています。今日の学生は、学業を中心に、課外活動やアルバイト等で多忙な日々を過ごしています。参加時期は、学部3年生(大学院修士1年生)の夏頃からが多いですが、授業期間中の数日間のプログラムに参加することはスケジュール的に厳しさがあると感じています。特に、理系の学部3年生の後期は研究室を決めていく大切な時期となり、学業の「過密化」傾向にもあります。学生から、一日完結型では充実化に恵まれず、歯ごたえのあるプログラムに参加してみたいとする声を聞いてはいますが、インターンシップ参加のための授業欠席は大学として認めていません。このような状況に、私どもは、とても複雑な心境でいます。数日間であれば、対面での実習とオンラインでの説明会等を組み合わせた「ハイブリッド形式」にて実施されるなど、学業優先が意識されたフレキシブルなプログラム構成、対応を企業側に働きかけていきたいと考えています。
参加に迷ったり不安に感じたりした際は、自身で判断しないで、私たち進路・就職センターを訪れてほしいと思います。個々の状況に応じて親身に話を聞き、最適なアドバイスを提供できるよう努めます。本学から未来を切り拓く人材を多く輩出できるよう、学生一人ひとりの可能性を最大限に引き出す支援を続けてまいりたいと考えています。
就職活動インタビュー(AGU LiFE)
*掲載されている人物の在籍年次や役職、活動内容等は、特記事項があるものを除き、原則取材時のものです。
