必修科目の
「キリスト教概論」や
礼拝等を通して、
⻘学マインドを知る2026.4.9
現代に生きる、青山学院大学のキリスト教教育
創立以来、青山学院はキリスト教信仰を教育のゆるぎない土台としています。今回は、本学におけるキリスト教教育の意義と、「礼拝」および必修科目「キリスト教概論Ⅰ」をはじめとするキリスト教関連の正課科目やキリスト教活動等にこめられた大学からのメッセージを紹介します。注意すべき「キリスト教系カルト団体」との違いについても、理解を深めるための要点として取り上げます。
INDEX
▼ 本学でのキリスト教活動(大学宗教部長 インタビュー)
【1】キリスト教教育の意義
(1)キリスト教の持つ考え方とは
(2)「地の塩、世の光」と「サーバント・リーダー」
【2】キリスト教教育の柱
(1)礼拝
(2)キリスト教に関連する正課科目
①キリスト教概論
②サービス・ラーニング
③ソーパー・プログラム
(3)キリスト教活動
【3】時代を超え、「今」を生きる学生に寄り添うキリスト教のメッセージ
▼ 私たちのキリスト教活動(学生の声)
■ 青山キャンパス:学びを心の支えに 礼拝堂で整う心、広がる新たな視点
■ 青山キャンパス(私費留学生):日本で見つけた、世界を理解する力と心の居場所
■ 相模原キャンパス:聖書で紐解く現代と自分 光の礼拝堂がつなぐ、世界への扉
本学でのキリスト教活動(大学宗教部長 インタビュー)
大学宗教部長
社会情報学部 教授
⼤宮 謙
慶應義塾大学経済学部卒業。東京神学大学大学院神学研究科博士前期課程修了。修士(神学)(東京神学大学)。日興證券株式会社、日本基督教団 西那須野教会 牧師、同教団 逗子教会 牧師を経て、2008年青山学院大学大学宗教主任、社会情報学部准教授に就任。2019年から同教授。2023年から大学宗教部長。
【1】キリスト教教育の意義
(1)キリスト教の持つ考え方とは
青山学院は、明治初期、米国のメソジスト監督教会*から派遣された3人の宣教師によって創設された3つの学校を源流としています。また、「建学の精神」において「青山学院の教育は、永久にキリスト教の信仰に基づいて、行わなければならない」と謳っています。キリスト教信仰にもとづく教育をめざす本学では、「教育方針」において「神の前に真実に生き 真理を謙虚に追求し 愛と奉仕の精神をもってすべての人と社会とに対する責任を進んで果たす人間の形成」を掲げています。
*メソジスト監督教会…ジョン・ウェスレー(1703~1791)を創始者として英国で発足し、米国で発展したプロテスタント・キリスト教の教派。青山キャンパスの正門右側の14号館外壁の立像がジョン・ウェスレー。相模原キャンパスのチャペルもウェスレー・チャペルとその名が冠されている。
ジョン・ウェスレー像は「身長4.25m」「重さ1.7t」のブロンズ像。左手に聖書を持ち、右手で祝祷を捧げている(制作:文学部名誉教授・小嶋弘)
改めて、キリスト教の持つ考え方とはどういったものでしょうか。その代表的な例をいくつかご紹介します。
まず挙げられるのは「一人一人がかけがえのない存在である」という考え方です。キリスト教の中心的なメッセージは「神は人間を含む世界を創造し、そこに生きるものを愛しておられる」というものです。人間もまた、それぞれが神によって造られた大切な存在であり、存在そのものに価値があると考えます。神の愛をギリシャ語で「アガペー」と言いますが、アガペーは無条件に無償で与えられるものであり、性別や人種、その人の業績や信仰の有無に至るまで、一切を問いません。「人間は、誰であっても神によって大切にされている存在である」という共通理解を持つことで、相手のことも自分のことも大切にする精神が育ちます。
また「人間は、誰しも生まれつきその人固有の素晴らしい力を備えられている」という考えもキリスト教の特徴です。聖書では「人間一人一人に神が素晴らしい才能を預けている」とされているからです。そのためキリスト教では「何も持っていない人間にゼロから知識や能力を教え込む」という発想ではなく「それぞれが持っている才能(タレント)を引き出す」という発想に基づいて教育活動を行います。才能や能力を指すタレントの語源であるタラントンは、元来は通貨の単位ですが、この語がキーワードである聖書の中のタラントンのたとえ話では、主人から預かった財産(タラントン)で商売をして財産を増やした僕(しもべ)は、更に多くのものが与えられますが、失敗を恐れて何もしなかった僕(しもべ)は叱られます。このたとえ話では、人間が主人である神を信頼し、失敗を恐れずに神から預かった才能を使って挑戦していくことの大切さが示されています。そして、この教えが示すように、一人一人に与えられた才能は、社会のために精一杯発揮することが期待されています。
マタイによる福音書 第25章14-30節(『聖書 聖書協会共同訳』)に記されている「タラントン」のたとえ©日本聖書協会
さらに、キリスト教には一人一人の才能を神からの賜物として大切にし、一人一人の多様性を尊重する特長があります。「AかBか」といった二者択一ではなく「AでもありBでもある」という考えを重視するのです。例えばキリスト教では、イエス・キリストについて「まことの神であり、まことの人である」と信じられています。私たちの社会でも「あの人は真面目だけれど面白い」「(ある出来事について)立場によって見方が異なるけれど、どちらの言い分も理解できる」ということは多いのではないでしょうか。多面性とは、「何かができる・できない」「誰かにとって価値がある・ない」といった何か一つの物差しで評価して切り捨てるのではなく、物差しがいくつもある状態とも言えます。自分とは異なる個性に対しても、どちらが良い・悪いではなく「この人にはこの人の良さがある」ということを互いに認められるようになることがキリスト教教育の大切な点です。
(2)「地の塩、世の光」と「サーバント・リーダー」
さらに本学では、新約聖書『マタイによる福音書 第5章13~16節』に記されている「地の塩、世の光」という言葉と「サーバント・リーダーシップ」という考えを大切にしています。塩は防腐の働きをし、人と社会の腐敗を防ぐものです。光とは、孤独な人を温かく照らすと共に不正をも照らし出して事柄を明らかにするものです。聖書には「あなたがたは地の塩である」「あなたがたは世の光である」と記されていますが、ここで重要なのは、人間にとって「地の塩、世の光」というのは「努力目標」ではなく「確定事項」である点です。「あなたがたは既に地の塩、世の光なのだから、自らの役割を果たしなさい」と実践を促す言葉なのです。この言葉には、先ほどの「タラントンのたとえ」とも共通する人間への深い信頼が表れており、「私なんて役に立たない」といったネガティブな思い込みからの脱却が期待されています。この話を聞いた学生からは「 “既に”という部分に、自分の存在価値が認められているような感じがしてほっとした」「やる気が出た」という声もありました。
この「地の塩、世の光」を体現する者が「サーバント・リーダー」です。サーバント・リーダーとは自ら社会に仕え(サーブし)ながらリーダーシップを発揮する存在なので、「ただの便利な人」ではありません。そのため、リーダーにふさわしい知識、技能、経験、人柄などを磨き続ける必要があります。
【2】キリスト教教育の柱
(1)礼拝
こうした考えを背景に、本学においてキリスト教教育を実現するために設けられた3本の柱が「礼拝」、「キリスト教に関連する正課科目」および「キリスト教活動」です。
礼拝とは信仰を目に見える形で体現するものであり、「本学がキリスト教教育において何を大事にしているか」ということをお伝えする中心的な場です。そのために本学では、日常的な大学礼拝に加え、入学式や学位授与式(卒業式)を含む主要な式典を礼拝形式で行っています。
本学の主要な式典は、全ての出席者が、自らの宗教的・文化的・精神的背景を保持しつつ参加できるよう配慮されており、これは多様な価値観や文化的背景を持つ人々を受け入れる本学のインクルーシブな精神を体現するものです。キリスト教への入信が強制されるようなことは一切ありません。
礼拝は主にパイプオルガンによる前奏から始まり、讃美歌、聖書朗読、説教、祈り、後奏という流れで進められ、説教者は大学宗教主任や教会の牧師などが務めます。説教では聖書の内容やキリスト教で大切にされている考えなどが語られますが、説教者によってその切り口はバラエティーに富んでいます。説教からさまざまなことを吸収するのはもちろん、胸に抱えるものがあるときには礼拝堂の落ち着いた空気の中で一息ついて心を休めることもできますし、「心の“日光消毒”をしたい」と考えたときにも礼拝は有効です。各学部や専門職大学院には牧師資格を持つ教員(大学宗教主任)や宣教師の教員がいますので、礼拝や授業以外でも会話してみると何か発見があるかもしれません。
オープンキャンパス歓迎礼拝。パイプオルガンの奏楽で讃美歌を歌う
ここで一つご紹介したいのは、本学では、陸上競技部(長距離ブロック)の箱根駅伝壮行会・優勝報告会や、硬式野球部の優勝報告会も、各キャンパスのチャペル前などで宗教主任による開会祈祷で始められるということです。開会祈祷を担当すると、後日、練習でキャンパス内を走っている野球部の学生が挨拶してくれたりするのは嬉しいですね。心に残っているのは、校友である井口資仁氏と小久保裕紀氏(現・福岡ソフトバンクホークス監督)の2,000本安打達成を記念したプレート除幕式で祈祷をした際、参加された卒業生の方から「野球部での労苦を思い起こした」と声を掛けていただいたことです。祈りの言葉をしっかり聞き、ご自身の経験と重ね合わせて受け取ってくださったことが、とても印象的でした。
(2)キリスト教に関連する正課科目
①キリスト教概論
キリスト教教育のもう一本の柱が、必修科目の「キリスト教概論Ⅰ」をはじめとするキリスト教理解関連科目です。「キリスト教概論Ⅰ・Ⅱ」では、聖書の基礎的な知識を身に付けてキリスト教的思考への理解を深めることを目指しています。
例えば、私の担当する1年次の「キリスト教概論Ⅰ」では「世界宗教分布図」(出典『キリスト教年鑑2024~2025』キリスト新聞社)を用いて、世界における宗教のあり方を紹介します。まず、キリスト教は、信者数が世界人口の約33%を占める世界最大の宗教です。これにイスラム教・ヒンドゥー教・仏教を加えた四大宗教だけで、世界人口の約77%を占めます。世界にはその他の宗教も数多く存在しますので、全体として見ると、無宗教は少数派に当たります。こうしたデータを背景に、世界の多くの人々にとって宗教とはライフスタイルであり、道徳観の基礎をなすものであることを紹介します。また、キリスト教は、経済や芸術、日常生活に至るまで、世界のさまざまな分野と深く関わっています。そのため教養という観点からもキリスト教の知識や思考法を学ぶことは大きな意義があることも伝えます。
さらに本学の歴史や、学校設立に尽力した宣教師、その他の協力者にも触れます。授業では礼拝のレポート課題がありますが、キリスト教の内容を実地で学ぶことを目的としたものであり、入信を促すものではありません。こうした講義展開の中で、青山学院にも脈々と受け継がれているキリスト教信仰における発想、論理、価値観について理解を深めてもらえればと思います。
関連動画:【学生による授業紹介MOVIE】「青山スタンダード」の学び/キリスト教概論Ⅰ
②サービス・ラーニング
その他の授業としては、「サービス・ラーニング」がキリスト教教育の特徴をよく伝えるかと思います。教室で身に付けた知識や技能を、地域社会のさまざまな課題を解決するための活動に生かしながら、学生が「市民としての責任」や「社会の中で果たす役割」を実感できるようにするサービス・ラーニングは、市民活動団体やNPO、ソーシャル・ビジネス企業などから招いたゲスト・スピーカーの講義、学生自身によるボランティア活動、事後学習およびその発表という3つの要素から構成されています。なお学生が活動する場所は国内からフィリピン、カンボジアまで多岐にわたっています。
「サービス・ラーニングⅢ」(カンボジアのフリースクールにて、日本文化紹介の授業)
サービス・ラーニングでは、ボランティア活動を続けている方々の生の声を聞き学生自らも実地で活動することで、現実から真摯に学ぶ姿勢を育むことを大切にしています。社会問題の複雑さを目の当たりにすることでそれまでの「机上の空論」から脱し、より現実に即した視点を得ることが期待できますし、多様な思考や行動・生活様式をはじめ、サーバント・リーダーシップについて実践的に学ぶ貴重な機会でもあります。この授業を「自分には何ができるか」と考えるきっかけにしてもらいたいと思います。
③ソーパー・プログラム
さらに本学ならではのユニークな科目が「ソーパー・プログラム」です。これはキリスト教学校の教員を目指す学生に向けられたもので、専門の科目群が整えられています。プログラム修了書は、キリスト教学校での採用を望む学生にとっては一つのアピールになるものだと思います。毎年、約10人がプログラムを修了し、その中の数人が実際にキリスト教学校の教員となっています。
本学ではこの他にも、青山スタンダード科目を中心に、芸術や歴史、政治や思想、倫理的な分野など多くのキリスト教理解関連科目を用意しています。どの授業であっても、そこには聖書の創世記の一節に「神は人をご自身のかたちとして創造された。神のかたちとして人を創造し、男と女に彼らを創造された。」とあるように「人は誰でも『神のかたち』に造られ、尊厳を持ったかけがえのない存在である」ということを心に留めておいてほしい、という学生への願いが込められています。
(3)キリスト教活動
さらなる柱であるキリスト教活動については後掲の「私たちのキリスト教活動(学生の声)」を参照してください。
【3】時代を超え、「今」を生きる学生に寄り添うキリスト教のメッセージ
本学には、入学まで全くキリスト教に触れたことのない学生も多くいますので、授業や礼拝を通じてキリスト教について学ぶ前には「自分とは関わりのない話だ」という思い込みやある種の緊張感を持つことも少なくないと思います。しかし学んだ後にはそうした思いは薄れ、多くの学生たちが「聖書は古代の文書であるにもかかわらず、現代を生きる私たちにも届くメッセージを持っている」と受け止めてくれているように思います。新約聖書にあるイエス・キリストの奇跡物語を取り上げた際にも、授業のレスポンス・シートに「奇跡の非日常性よりも、人の窮地に寄り添って手を差し伸べるイエス・キリストの姿が励ましになった」と書いてくれた学生もいました。
キリスト教の信仰を持つ人はもちろん、そうでない人であっても、2,000年もの長きにわたって伝えられてきたキリスト教からは人生のヒントとして学べることも多いのではないかと思います。本学ではキリスト教教育を通じて、今の時代にも大きな価値を持つキリスト教のメッセージをより多くの学生に届けていくことを目指しています。
キリスト教の神は、その本質が愛です。愛することを大切にする空気の中で、ぜひ素晴らしい大学生活を送っていただきたいと願っています。
【注意喚起】キリスト教系新興宗教との違い
“離れる”という選択肢を持つこと──安全な信仰と危険な誘いの境目
大学宗教主任 塩谷 直也
青山学院が信じるキリスト教と「キリスト教系新興宗教(カルト団体)」との違いを簡単には記せません。なぜなら両者の信仰対象、教義がほぼ同じであることは少なくないからです。むしろ重要な点はそれがどのような団体であれ「危険性を感じたときに躊躇なく離れる」というリテラシーです。ではどのような団体が「危ない」か。
①急激に接近する。非常にフレンドリーで一気に距離を縮めてきます。馴れ馴れしさと優しさのギリギリのところを攻めてきますので、判断に苦しむところですが、良きワインと友情の成立には時間がかかるもの。急速な進展には注意しましょう。
②疲れさせる。楽しい企画や学びが続き立ち止まって考える時間を与えません。あなたがゆっくり考えると自分たちの正体がバレてしまうからです。
③曖昧さを嫌う。カルトは0か100か(All or Nothing)の思考で世界を解釈します。善か悪か、神の側もしくは悪魔の側に立つのか、と白黒はっきりつけて決断を迫ります。日頃からこのような考え方に偏りがちな方はカルトと親和性が高いと思われます。「曖昧な現実」を受容する学びが必要でしょう(実は聖書、特に旧約聖書はこの曖昧な世界に逞しく生きる人々が描かれており学ぶには最適です!)
https://www.aoyamagakuin.jp/rcenter/warning.html
私たちのキリスト教活動(学生の声)
青山キャンパス
学びを心の支えに
礼拝堂で整う心、広がる新たな視点
経済学部
経済学科 3年
〈ゴスペル・クワイア 副隊長〉
千葉・私立昭和学院秀英高等学校出身
吉田 開人
■「キリスト教概論」について
必修科目である「キリスト教概論」の授業では、キリスト教の基本的な考え方や聖書の解釈について学びました。聖書に関する一般知識に加えて、信仰のあり方や文化面での影響に関しても理解が広がったと感じています。講義以外の場でもキリスト教への理解は深まりました。例えば礼拝では、説教者の方が人生の中で抱えてきた問いやその答えに触れることができました。国際政治経済学部に在籍する韓国人の私費留学生の友人は、日本での一人暮らしに不安を覚えることもあったそうですが、「自分はクリスチャンなので、イエス様がそばにおられると感じることでつらいことも乗り越えられた」と話してくれました。こうした経験を通じて、信仰を持つ人にとってキリスト教は単なる知識ではなく、精神的な支えであることが実感できました。キリスト教の学びを経て新たな価値観に触れ、多角的な視点が身に付いたように思います。
■ ガウチャー記念礼拝堂について
青山キャンパスで特に好きな場所はガウチャー記念礼拝堂です。礼拝堂は厳かな式典の場であると同時に「ゴスペル・クワイア」で活動している私にとっては日々の練習場所でもあり、さらにはコンサート会場として観客や神様に音楽を届ける場でもあります。そこにはいつも讃美歌やゴスペルの存在があり、私にとっては自然と心が落ち着く場所です。礼拝堂に響く歌声やメロディーは気持ちを整えて前向きにしてくれます。
ガウチャー記念礼拝堂内でゴスペル練習中の吉田さん(左)
■ 礼拝について
授業課題などで礼拝に出席する際には特別な準備や知識は必要ありません。礼拝堂では帽子を取り、私語は控える、スマートフォンはマナーモードにするといった基本的なマナーさえ意識すれば問題ないです。あとは静かに座って、讃美歌に耳を傾けたり軽く目を閉じたりして、それぞれの形で落ち着いた時間を過ごしてください。私自身も疲れを感じたときや心を落ち着かせたいときなどには、授業課題とは関係なく礼拝に出席しています。
青山キャンパス(私費留学生)
日本で見つけた、
世界を理解する力と心の居場所
国際政治経済学部
国際政治学科 3年
韓国出身
SEO JINKYO(ソ ジンギョ)
■ キリスト教を知ることで、世界史と国際政治が立体的に見えはじめた
私は国際政治を学んでいます。授業でヨーロッパ統合や冷戦史を扱ったとき、「なぜこの国々は対立の歴史を越えて協力できたのか」という問いに向き合いました。その背景にあったのが、キリスト教に根付く「隣人愛」や「赦し」という価値観でした。
また、宗教改革や啓蒙思想を学ぶ中で、教義の違いが政治体制や国家観の形成に影響していることを知り、歴史が単なる出来事の積み重ねではなく、思想の連続であることを実感しました。キリスト教の基礎知識があったことで、教科書の記述が一段と立体的に理解できた瞬間が印象に残っています。さらに、日常生活でも映画や音楽、文学の中にある聖書的モチーフに気づけるようになり、文化理解の深さが変わったと感じています。
■ 光と静けさに満たされた、チャペルの魅力
キャンパスのチャペルは、日常の喧騒から少し離れて、自分自身と静かに向き合える場所だと感じています。
特に印象的なのは、柔らかな光を通して色彩が広がるステンドグラスです。時間帯によって光の入り方が変わり、同じ場所でも雰囲気が少しずつ異なるところに美しさを感じます。ステンドグラスは、青山キャンパス礼拝堂のエントランスホールと、相模原キャンパスのチャペル内にあります。また、パイプオルガンの音色は、ただ音楽として美しいだけでなく、空間全体を包み込むような響きがあり、心を落ち着かせてくれます。国や文化が違っても、静かな祈りの空間に身を置くと、不思議と安心感を覚えるところがこのチャペルの魅力だと思います。
相模原キャンパス
聖書で紐解く現代と自分
心を満たす礼拝堂が開く、
世界への扉
地球社会共⽣学部
地球社会共⽣学科 3年
〈⻘⼭キリスト教学⽣会(ACF) 副会⻑〉
東京・私立玉川聖学院高等部出身
鈴木 こころ
■ キリスト教関連の科目と礼拝について
キリスト教に関連する授業では、聖書の言葉や内容を、現代の社会問題や自分の身近なテーマに引き付けて考えることができ、有意義な学びとなりました。授業課題の礼拝レポートでは礼拝の内容や自分の気づきなどをまとめますが、その過程で漠然としていた疑問点を整理できたり新たな発見が生まれたりするので、聖書の理解がさらに深まります。授業課題以外でも礼拝には自由に参加できます。礼拝に参加するために特別な準備は必要ないので、礼拝堂では見よう見まねで讃美歌を歌ったり聖書を開いたりすれば大丈夫です。礼拝では説教者の方々が幅広いテーマを取り上げて個性豊かにお話ししてくださるので、想像していたよりも面白いと感じる方も多いのではないでしょうか。まずは週報などで説教のタイトルを調べ、興味を持った回から参加するのもおすすめです。
■ 留学経験とキリスト教について
アジアへの学部間協定校留学として、タイのタマサート大学で学びました。キリスト教の存在は、海外留学先でも大きな支えになりました。私自身がクリスチャンなので、礼拝や教会という居場所を通じて自然に交流の輪を広げることができたのです。人種や文化が異なっていても、クリスチャンという共通点があることで周囲からの信頼が得られ、仲間として認められることを実感しました。
■ ウェスレー・チャペルについて
相模原キャンパスでは、ウェスレー・チャペルのステンドグラスが印象的です。朝の礼拝ではステンドグラスが陽射しを受けて美しく輝き、そこにオルガンの音色が重なることで、より一層趣の増した素敵な光景となります。C棟ラウンジでもオルガンの響きを耳にすることができます。美しい音楽に満たされたラウンジで、ゆったりと友達と語り合ったり課題に取り組んだりするひとときはとても心が落ち着きます。
ステンドグラス、カリオン(鐘)及びパイプオルガンは、厚木キャンパスのウェスレー・チャペルから移設された。鈴木さんは左前列
青学に入学して初めて礼拝に参加しましたが、想像していたよりも親しみやすい雰囲気だと感じました。「キリスト教概論」の授業を通じて世界にはさまざまな考えがあることを知り、視野が大きく広がったと思います。世界中には多くのクリスチャンがいるため、教養という面からもある程度はキリスト教について学んでおくべきだと思います。 文学部 英米文学科 初めての礼拝に際しては「キリスト教概論」の授業で事前レクチャーがあったため、安心して参加できました。礼拝堂には各席に聖書と讃美歌の本が設置されているので、聖書などを持っていなくても出席できます。 教育人間科学部 教育学科 クリスマスツリーの点火式は大勢の人で賑わいますが、それとは対照的に礼拝では厳かな空気に心が落ち着いていくのを感じます。日々の授業や礼拝を通じて「私自身が“地の塩”であり“世の光”である」と感じられるようになりました。 教育人間科学部 教育学科 まずは礼拝形式の入学式に驚き、「キリスト教概論」では、これまで自分が触れてきた文化とキリスト教の文化が全く異なることに圧倒されました。信者数が世界人口の1/3を占める宗教を学ぶことは有益ですし、物事の背景にキリスト教が関わっている場合もあると知ると新たな視点が生まれます。ガウチャー記念礼拝堂はいつ訪れても素敵な場所で、これほど立派な礼拝堂のある大学は珍しいと思うのでとても気に入っています。 教育人間科学部 教育学科 初めて礼拝に参加するときには「礼拝では説教の内容に耳を傾け、必要に応じてメモを取ること」といった事前レクチャーがあるので安心してください。礼拝には学外の方の姿も多く、地域や社会に開かれた場であると感じました。「キリスト教概論」も非常に良い学びになっています。それまで、キリスト教発祥の地はヨーロッパであるというイメージを持っていたのですが、実際は中東に起源があることを学んで驚きました。 教育人間科学部 心理学科 青学に入学するまで礼拝には参加したことがなかったのですが、事前に「聖書の何ページを開けばよいか」など教えていただけたので安心して参加できました。青学では、世界中に多くの信仰者を持つキリスト教を学問的に学ぶことができ、有意義に過ごせました。入学したばかりで疲れている時期や、3年生になって就活などで忙しい時期にキリスト教の考えを学んだことは意味があったと思います。 法学部 法学科 礼拝に出席して説教を伺い、パイプオルガンの音色に耳を傾けているうちに、想像以上に心が落ち着いていくのを感じました。「キリスト教概論」では聖書の登場人物やキリスト教の考えに基づいて多くの功績を残した歴史上の人物について学ぶ中で、単に知識を得るだけでなく、学びを自分自身の行動につなげようとする姿勢が身に付きました。 法学部 法学科 クリスマスツリーの点火祭にはこれまで3回参加しました。当日はとても混雑するので、希望の場所で見たいなら少し早めに現地に足を運ぶことをお勧めします。寒い屋外での実施ですが、点火時の感動を思うと時間をかけてでも参加する価値があると思います。 法学部 法学科 私が学んでいる経営学の分野では、成果や合理性などが重視されますが、キリスト教の学びを通じて「人間そのもの」を尊重する視点の大切さを実感しました。キリスト教の知識は教養面においても重要で、特にアイルランドや英国文化を学ぶ上で役立ちました。ガウチャー記念礼拝堂では落ち着きのある空間に身を置いてパイプオルガンの豊かな響きに触れることで、日常の忙しさから離れて心を整えることができます。 経営学部 経営学科 交換留学中のフランスで「日本で通っている大学でキリスト教について学んだ」と伝えると、同じような経験を持つ友人やクリスチャンの友人とのあいだに共通点が生まれ、相手の文化を理解しやすくなりました。また、私自身がクリスチャンではなくても、キリスト教に関する基礎的な知識や理解があることが伝わることで、友人たちが自分の背景やアイデンティティを説明しやすくなることを実感しました。 国際政治経済学部 国際コミュニケーション学科/フランスに交換留学中 私は青学に入学して初めて礼拝に出席したので「パイプオルガンの心に響く音色がこんなにも良いものだとは」と驚きました。青学の礼拝堂は柔らかい雰囲気で「また来てみたい」と思えるような所だったので、それまでハードルの高さを感じていた地元の教会にも興味が湧きました。また礼拝や授業では、青学の「信は知の土台なり」という教育姿勢に基づいた「信じる気持ちがあれば、生活もより豊かになる」という考えを学ぶことができました。総合文化政策学部 総合文化政策学科
*掲載されている内容は、特記事項があるものを除き、原則取材時のものです。