特集 2

アカデミックライティングセンター
活用のススメ

レポート・論文を自ら書ける力の修得をサポート

大学での学びに不可欠なのがレポートや論文の執筆です。学生自身の「書く力」を伸ばすためのサポートをすることを目的として、アカデミックライティングセンター(AWC)は2017年に創設されました。青山・相模原の両キャンパスにおいて、本学の学生は誰でも無料で、何回でもサポートを受けられます。サポートの形式は、1枠45分(昼休みのみ30分)の個別相談(セッション)となり、専門的な研修を受けた本学所属の大学院生が、チューターとして相談を担当しています。日本語と英語の文章に対応しており、「何を書けばいいのか分からない」「自分のレポートをもっと良いものにしたい」といった文章作成に関わる悩みのあれこれを相談できます。国際的に通用する「書く力」をAWCで伸ばしてみませんか。

アカデミックライティングとは

「アカデミックライティング」とは、レポートや論文などの学術的な文章の書き方、または書く行為を意味します。学術的な文章を書くには、表記ルールなどの知識に加えて論理的な思考力や文章の構成力を身に付けることが大切です。しかし時間的な制限などによって、各専門分野における授業内でこれらのトレーニングが十分に行われていない実情があります。そのためAWCではアカデミックライティングに特化した支援を行っているのです。学生としての学びの中でも「書く力」は欠かせません。加えて「論理的に考え、正しい文章で伝える」というスキルは、学生の皆さんが社会に出てからもさらなる力を発揮してくれるものです。

AWCの運営スタッフ

学生自身の「考え」を引き出し
「書く力」に繋げるAWC

助教

小林 至道

青山キャンパスAWC専任スタッフ

AWCでは、レポートや論文といったアカデミックな文章について「学生が自分で書けるようになるまでとことん寄り添う」ことを目指しています。そのためチューターが課題の答えを一方的に教えたり、原稿を添削したりすることはあえてせず、学生自身が「自力で書けるようになった」という感覚をつかんでもらうことを大切にしています。その結果、AWCを利用した学生からは「実践的な書き方を教えてもらえたことで、確実な力が身に付いたと実感している」といったポジティブな声が挙がっています。

アンケート(表1)によれば、AWC利用者の満足度は97.6%と非常に高い値となっています。2017年の開設以来、高い満足度を維持しています。

また44.8%というリピート率(表2)にも大きな意味があります。なぜなら「書く力」はセッションを繰り返し利用するほどに伸びていくものだからです。私自身は他大学のライティングセンターの運営やライティング教育の授業実践を通して諸大学の状況を知る立場にありますが、それを踏まえた上でこの満足度およびリピート率は全国的にもかなり高い水準にあると言えます。

表1 利用者満足度

2019年度のデータ(有効回答数=621件)

件数 割合
満足 606件 97.6%
不満足 15件 2.4%

表2 複数回利用者の割合

2019年度のデータ(年間利用者実数=317人)

人数 割合
複数回利用者 142人 44.8%
5回以上の利用者 27人 8.5%

学生自身の「考え」を引き出し「書く力」に繋げるAWC

助教

小林 至道

利用者の声
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質の高いサポートを実現するため、AWCとして特に力を入れているのはチューターの育成です。すべてのチューターはロールプレイング形式による「模擬セッション」といった実践的な研修を経て、ライティング支援に関する専門性を身に付けています。チューターが全員本学の大学院生であるという点も、「同じ学生の目線に立ってもらえるので気兼ねなく相談できる」として利用者に好評です。AWCでは、各種のデータを活用して利用者のニーズを客観的に分析することで、サポートの精度を高められるよう日々工夫を重ねています(表3~5)。

AWCを活用するコツは、「気軽に、繰り返し、提出期限までに余裕をもって」の3つです。まだ何も書けずに悩んでいる人も、書いた原稿の見直しをしたい人も気軽にAWCを利用してみてください。初めの一歩が大切です。そしてできれば一回きりではなく、繰り返し利用すると力の付き方が大きく変わってきます。また、セッションの予約はなるべく早めに取り、見てほしい相談文章をAWCに提出しておくと、限られた時間内でもより充実したセッションを受けることができます。

私自身もかつては全くレポートや論文を書けずに苦しんだ学生の一人でした。そのため、困っている学生の目線で「いつも気軽に相談に乗ってもらえるAWC」でありたいと常に思っています。文章を書くことや、自分の文章を誰かに読まれることに苦手意識がある方々にこそ、何度でも、納得がいくまでぜひAWCを利用してほしいと強く願っています。


アカデミックライティングの相談に応じるチューターが常駐

表3 相談文章の有無

2020年度のデータ(年間相談件数=508件)
※以下の割合については、2019年度とほぼ変わらない数値

件数 割合
「相談文章がある」状況での相談 400件 78.7%
「相談文章がない」状況での相談 108件 21.3%

表4 「相談文章がある状況」において多かった相談内容トップ3(複数回答)

件数 割合
「文章構成の仕方」:序論・本論・結論の型、問い・主張・論証の要素を満たして書けているか 245件 61.5%
「文章全体の推敲」:細かな文章表現を含めて、文章全体が問題なく書けているか 195件 48.8%
「文章の展開の仕方」:文と文、段落と段落のつながりが、論理的で分かりやすく書けているか 137件 34.3%

表5 「相談文章がない状況」において多かった相談内容トップ3(複数回答)

件数 割合
「課題内容・条件の把握・理解」:課題(授業概要・出題意図)の内容・条件を把握、理解できているか 64件 59.3%
「テーマ決め」:課題に関するアイデア出し、問いの絞り込みを含め、テーマをどう設定するか 51件 47.2%
「文章作成の手順」:提出までのスケジューリングを含め、レポート・論文をどう書き進めるか 44件 40.7%

アカデミックライティングの相談に応じるチューターが常駐

青山キャンパスAWCチューター

現在は大学院で国際政治学を学びつつ、AWCのチューターを務めています。AWCでは、明るく親しみやすい雰囲気の中で、利用者自身が文章の問題点に気付き、修正できるようなサポートをしています。利用者の文章をチューターが添削してしまえば利用者の悩みは簡単に解決できますが、それでは本人の力は向上しないので、セッション(相談の場)では対話をメインに、チューターはあくまで聞き役に徹するよう努めています。

AWCのチューターは専門的な研修を受けており、「模擬セッション」というカリキュラムでは利用者からアイデアを引き出すためのコミュニケーションスキルを身に付けます。実は私は大学院に入学する以前教職に就いており、生徒指導の経験がありました。ですがクラス単位での指導に慣れていたことから、相談者自身の気付きを待たずについ「正解」を伝えそうになってしまうこともあります。そういった際にも研修での学びが役立っています。

利用者からアイデアを引き出すのは簡単なことではありませんが、利用者の悩みが解決したときや、成長が感じられたときは非常にやりがいを感じます。特に利用者の力が大きく伸びるのは、文章の「型」とも言える文章構成の基本を学んだときです。実はアカデミックな文章には世界共通の「型」や表記ルールなどがあるので、この型を知っていると良い文章が格段に書きやすくなります。ですが、これらの知識を学べる場はそう多くはありません。その貴重な場の一つがAWCなのです。

AWCでは皆さんのサポートをするため、私たちチューターが親身に対応しています。テーマの決め方や参考文献の書き方、文献検索の方法など、気になることがあれば気軽に利用してみてください。セッションではとにかく明るく楽しく、リラックスして学べると思います。レポートなどで困ったらAWCに気軽にいらしてください!

心掛けているのは
「明るく 楽しく 学べる セッション」

国際政治経済学研究科
国際政治学専攻 博士後期課程2年

渡辺 司

心掛けているのは
「明るく 楽しく
学べる セッション」

国際政治経済学研究科
国際政治学専攻 博士後期課程2年

渡辺 司

理系の文章の
ライティング支援にも強みを持つ相模原AWC

相模原キャンパスAWC専任スタッフ

相模原キャンパスのAWCでも、青山キャンパスAWCと同様に、相談者自身の「書く力」を育むことを目的としてライティングの支援を行っています。相模原キャンパスAWCは理工学研究科出身のチューターが多く在籍しており、実験レポートを含む理系の文章相談にも対応しています。もちろん文系の文章も受け付けていますので、理系・文系を問わずご相談ください。サポートの対象となるのは日本語もしくは英語で書かれた学術的な文章で、青山スタンダード科目の授業における課題、英語のエッセイのほか、礼拝レポート、各種志望理由書などの相談も歓迎です。相模原AWCは万代記念図書館の2階にあります。図書館でレポートを書いているときなど、少しでも「困ったな」と思ったらふらっと立ち寄ってみてください。書き始める前のアイデア出しやテーマ決めの相談も可能です。利用に関してはWEBでの事前予約を推奨していますが、セッションの予約枠が空いていれば飛び込みでも利用できます。どんな些細なことでも大丈夫です。チューターとの対話を通して文章により磨きをかけていきましょう!

理系の文章の
ライティング支援にも
強みを持つ相模原キャンパスAWC

利用者の声

私はもともとレポートを書くことに苦手意識がありました。自分の考えになかなか自信を持てず、文章として発表することにためらいがあったからです。そのため当初は、AWCで自分のレポートを見てもらうことにも抵抗がありました。

しかし、ある英語の授業でレポートを課されたときに、自分で納得できるようなものを書くことができずショックを受けましたが、「もっときちんとした文章を書けるようになりたい」と思い直してAWCに相談することにしました。

緊張して臨んだ初セッションでしたが、チューターの方は驚くほど親身に相談に乗ってくださり、楽しくセッションを受けることができました。特に良かったのは、レポートの書き方などについて、チューターの方から「答え」ではなく、考え方や文章の組み立て方といった「過程」を教えていただけたことです。このおかげで新しいテーマにも対応できる応用力が付いたように思います。学び始めた当初と現在の文章とを比べると、書く力が付いてきているという手応えを感じます。

AWCの利用を通じて成長した点は、文章を書くことへの苦手意識がなくなったということです。チューターの方が、相談者である私の考え方を尊重し、それを引き出すようなサポートを続けてくださったおかげで、以前はあんなに苦手だったレポートも、今では「書きたい、自分の言葉で表現したい!」とプラスに考えられるようになりました。一つ一つの学習課題に対しても「もっと向き合おう、もっと知りたい!」と学びの意識も変わったと思います。書く力を伸ばしつつ、今後は法学という学問自体についてさらに学びを深めていきたいと考えています。

自分のレポートに自信がない方こそぜひAWCに相談してみてください。利用し続けることで、きっと「中身があり、かっこよく、魅せる」文章が書けるようになります。

AWCのセッションで、苦手だったレポート作成を楽しめるようになった

法学部 法学科2年

上村 麻桜

AWCのセッションで、
苦手だったレポート作成を
楽しめるようになった

法学部 法学科2年

上村 麻桜

2020年度インタビュー調査より

◆まだ書くことが何も決まっていない段階で相談しても、きっかけを与えていただけるので、そこから考えがまとまり、書く内容を決めていくことができました。

◆チューターの方とのやり取りの中で、新しい文章が生まれていったことが何度もありました。

◆チューターの方と対等な関係で話し合えるので、一緒に検討している実感が湧きます。

◆最初は緊張しましたが、チューターの方が本当に優しくて、私の考えを尊重しながら支援してくださるので、大きな自信にもつながり、モチベーションが上がりました!

◆利用前は堅いイメージがありましたが、チューターの方がとても話しやすく、分かりやすいため、何度も利用したくなります。

◆AWCを何度も利用した後、自分のレポートをふと見直したとき、力がついたと自分でも思えるようになった上、先生にも生き生きしたレポートが書けるようになったと誉められました!

◆繰り返し利用するうちに、レポートを書き始めるまでにあまり時間がかからなくなった上、文章を書くスピード自体が速くなりました。苦手意識が強かったレポートを、迅速に書けるようになってすごくうれしいです。

◆以前はレポートに対して構えてしまう自分がいましたが、AWCを利用することによって、軽い気持ちで書き始められるようになりました!

◆セッションを受ける前は予約するのも少々緊張しましたが、チューターの方は皆さんフレンドリーなので、何度も利用したいと思うようになりました。

◆ライティングセンターについて、赤ペンで文章を直されるスタイルというイメージでしたが、実際は、レポートの書き方の本を読んだだけでは分からない点や、実践的な書き方を教えていただけたので、確実に力が身に付いたと実感しています。

※登場する人物の在籍年次や役職、活動内容等は取材時のものです。

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