進路・就職サポート 2024
保護者世代とは違う!
知っておくべき基礎知識
2024. 10. 17
保護者世代からこんなに変わった! 今の就活状況
昨今の大学生をとりまく就職活動(以下、就活)の状況は、Web(オンライン面接)やインターンシップ(就業体験 / 以下、インターン)などにより、内容やスケジュールが保護者等の皆さまが就活した時代から大きく変化しています。今、実際に行われている就活の状況を知っていただくことは、お子さまのより良いサポートにつながります。本特集をぜひご一読ください。
進路・就職センターからのメッセージ
■ 直近の青学生の進路状況と今後の動向
新型コロナウイルス感染症が第5類に移行し、大卒求人倍率の上昇が示すように(2022年3月卒1.50倍、2024年同1.71倍、2025年同1.75倍 / 2024年6月リクルートワークス研究所「大卒求人倍率調査(2025年卒)」より引用)、企業等の採用意欲は上向き、新卒学生の売り手市場の傾向がいっそう進んでいます。
2023年度(2023年9月および2024年3月卒業)の本学卒業生の進路・就職の状況は、就職が全体の81.4%、進学が9.3%となり、さらに就職率(就職希望者数に占める就職者数の割合)は95.4%でした。これは前年度の95.1%を0.3ポイント上回る結果です。
学部別では、コミュニティ人間科学部の97.6%を筆頭に、文系・理系各学部とも90%を超える高い数値を示しました。また、大学院等への進学率は、前年度の9.8%に対して9.3%となり特に理工学部が全体の70%強を占め、その進学先の大半が本学理工学研究科への内部進学となっています。
就職実績の業界としては、情報通信や金融、コンサルティング、また本学の学生に根強い人気のある航空・観光、サービス業界などにおいて、表のように就職者数で上位を占めました。
また、会社説明会や採用面接は従来の対面形式の他、オンライン形式も取り入れて併用で実施されています。就職に対する意識が高く早めに活動を開始した学生と準備が遅れてしまった学生との「二極化」は、ここ数年でさらに大きくなってきています。そうした状況下、企業側はインターン等を通じて早くから自社に合う優秀な人材を確保すべく早い段階で内定を出し、学生側は、内定を持ちつつも納得がいくまで就活を継続することで、ますます採用活動の「早期化」「長期化」の傾向が強まっています。
さらに、採用の形態も新卒一括採用に加え、ジョブ型(あらかじめ職務や勤務場所を明示)やオファー型(企業が求める人材に直接アプローチ)の採用など「多様化」が進んでいます。
今後の就活において、本学学生の動向に大きな変化は見られないと想像しますが、採用スケジュールの前倒し、インターンを通じた早期選考、生成AIの導入など、変化とそれに対する柔軟な対応が求められます。
■ インターンやオープン・カンパニー等を実施する企業は7割超
株式会社キャリタスの「2025年卒採用活動の感触等に関する緊急企業調査」(2024年5月)によると、今夏(2024年6〜9⽉)、インターンやオープン・カンパニー(オープンキャンパスの企業版)等のキャリア形成支援プログラムを「実施する予定」とした企業は7割超でした。この2年で10ポイント増加しています。企業の従業員規模が大きいほど「実施予定」の割合が高く、従業員1,000人以上の大手企業では9割近くに上りました。
実施するプログラムは「タイプ1:オープン・カンパニー」が最多で8割強と、従業員規模を問わず圧倒的に多いことが分かります。「タイプ3-①:汎用型能⼒活用型インターン」は3割強で、従業員1,000人以上の大手企業では4割を超えます。
応募者への事前選考実施状況を見てみますと、インターン等の応募者に対し、事前選考を実施する企業は約3割、中でも従業員1,000人以上の大手企業の実施率が4割超と高いことが分かっています。
つまり、大手企業を照準にして、インターンやオープン・カンパニー等のキャリア形成支援プログラムへの参加を目指す場合、進路・就職センターが3年生の4月から開催している各種ガイダンス・セミナーにて準備をしておくことが重要となります。事前選考の実施内容は「書類選考・エントリーシート(ES)」が8割超と圧倒的に多いので、ES書き方講座や自己分析講座等に参加することで、知識とノウハウを得て不安を減らし、自信を付けることができるでしょう。
これらのガイダンス・セミナー等は教育支援システムのCoursePowerやWebAshにて動画の視聴とレジュメのダウンロードができますので、当日に参加ができなかった学生も後日視聴が可能です。
■ インターン等の選考と本選考は別。本選考にトライしよう
「インターンの選考を通過できなかったから、本選考は諦めよう」「インターンからの早期選考を受けられなければ内定獲得は無理だ」というような誤解をしてしまう学生がいます。当センターでは、日頃より多くの企業の採用担当者と直接会って話をしていますが、早期選考で採用予定人数をすべて充足させるという企業はありません。
逆に、「インターンやオープン・カンパニーの選考を通過できなかった、応募していない、という学生でも本選考にエントリーしてほしい」という企業ばかりです。企業側としては、多くの学生にエントリーしてもらい優秀な学生を採用したいという気持ちがありながらも、会場とする施設やマンパワーの都合で8~9月に多くの人数をインターンやオープン・カンパニーで受け入れることが難しい実情があります。また、企業側は、就活準備が早い学生だけ採用したいというわけでもなく、3年生の後期まで授業やクラブ活動に力を入れて取り組む学生がいて、6~7月のインターン選考の時には準備が整っていないこともある、ということも分かっています。インターンやオープン・カンパニーの選考と本選考は別なので、志望企業の本選考は諦めずにエントリーすべきです。
■ 就職担当者のつぶやき:学部卒業生の就職者数、上位企業の推移から見えるもの
日本学生の就活は、国内のみならず世界経済からも影響を受け、どのような経済情勢の時に就職するかの運もあると言われます。2008年9月のリーマンショック時から翌年にかけて日本企業による内定取消は就職担当であった者にとっても衝撃的でした。本学のデータから3年度分の就職先人数が多い企業を抜き出して比べると、採用人数の多い企業や、人気業界でもM&Aなどで存続している日本企業の力強い歩みが透けて見えてきます。
年度の選択は、今年度新札に登場し、日本の主要企業の設立関わった渋沢栄一氏の経営理念の根源とも言われる論語に例え【1999年】頃に就職をして、30にして立つ【2008年】頃までに結婚と育児。40にして惑わず、50にして天命を知る間の【2023年】は大学生の家族がいると想定しました。
【1999年度】は金融業界一色。日本航空の客室乗務員の採用がなく就職氷河期で最も大卒求人倍率が低かった年(0.99倍)でした。【2008年度】はリーマンショック前に大多数が就活を終えた年で、大卒求人倍率は2.14倍でバブル期以降最も高い年で就職先が大量採用の大企業に集中していました。コロナ禍後の【2023年度】には航空・旅行業界が採用人数を戻し始め、またコンサル業界数社とIT業界などの新企業もランクインしました。
約25年を経て、上位10社は金融業界(銀行・保険)➡コンサル業界・IT業界への移行を映し、最新の2023年度は複数業界がランクイン。大量採用する力を持つ企業は銀行に集中していましたが、機械化やDX化の推進により採用数が減少し、他の業界で積極的に新卒採用をする企業が増えています。多業界に就職している本学学生は多様な価値観を受け入れ、社会の急速な変化に柔軟に対応していて、保護者世代には新しいもの(事業)を受け入れるよう求めているとも感じます。
[1999・2008・2023年度 就職者 上位企業]
社名 | 人数 |
---|---|
(株)富士銀行 | 25 |
日本生命保険(相) | 18 |
日本アイ・ビー・エム(株) | 16 |
(株)東京三菱銀行 | 16 |
東京海上火災保険(株) | 15 |
安田火災海上保険(株) | 14 |
住友信託銀行(株) | 11 |
日本交通公社 | 11 |
(株)三和銀行 | 11 |
キヤノン(株) | 10 |
金融業界(銀行・証券・保険)7社 |
航空業界 0社 |
社名 | 人数 |
---|---|
(株)みずほ銀行 | 69 |
(株)三菱東京UFJ銀行 | 46 |
(株)三井住友銀行 | 39 |
全日本空輸(株) | 34 |
日本生命保険(相) | 26 |
東京海上日動火災保険(株) | 22 |
三井住友海上火災保険(株) | 21 |
明治安田生命保険(相) | 19 |
(株)損害保険ジャパン | 18 |
野村證券(株) | 18 |
金融業界(銀行・証券・保険)9社 |
航空業界 1社 |
社名 | 人数 |
---|---|
日本航空(株) | 28 |
アクセンチュア(株) | 23 |
レバレジーズ(株) | 23 |
(株)ジェーシービー | 22 |
富士通(株) | 22 |
(株)三井住友銀行 | 21 |
全日本空輸(株) | 19 |
(株)NTTデータグループ | 18 |
(株)ベイカレント・コンサルティング | 18 |
日本生命保険(相) | 17 |
金融業界(銀行・証券・保険)2社 |
航空業界 2社 |
■ 進路・就職センターのサポート
青山学院大学進路・就職センターでは、一人一人の学生が納得して将来の進路選択ができるように、個別相談と多様な支援プログラムを準備して、進路・就職支援を行っています。
支援の柱は、本学独自の進路・就職情報の提供、進路・就職支援行事の開催、個別相談の3つです。青山キャンパス、相模原キャンパスそれぞれの学問領域や特性に合わせて、いわゆる「就活」という言葉に代表される3・4年生の就活の支援だけでなく、大学院生も含め、学年のくくりにとらわれ過ぎずに、低学年から学生生活をどのように過ごしたらよいのかというアドバイスや、キャリア形成に関する支援行事を開催するなど、早い時期から自らの将来の進路を考え、職業観や勤労観を醸成するための支援にも注力しています。
また、本学卒業生で作る団体「青山学院校友会」の「大学部会在校生就職支援委員会」等の協力の下に「OB・OGとの交流カフェ」「OB・OGとの模擬面接&グループディスカッション」といった各種イベント・セミナー等も開催しています。
進路・就職のことで困りごとがありましたら、ぜひ当センターを利用してください。
就活生から保護者へのメッセージ
2024 年3 月卒業者を対象にアンケートを実施しました。就活生たちのリアルなメッセージをご紹介します。
■ 就職活動中に親にしてもらって嬉しかったこと
自分が就活中の愚痴をこぼしていた時に、指摘やアドバイスをせずに、ただ黙って聞いてくれていたことがとても精神的に支えになりました
学部
Web面接が多かったので、家の中のWi-Fi環境を整えてもらったり、面接中は音が鳴らないように配慮してもらったりしたこと
学部
親の理想や思うことを押し付けずに自分主体でやらせてくれたことがよかった。何かあったらいつでも頼れるという存在感がありがたかった
学部
毎日自分のいいところを言ってくれたこと。「絶対大丈夫だから」と声をかけてくれたこと。企業選びや選考準備に関して干渉しすぎなかったこと
■ 就職活動中に親に言われてつらかったこと
親の企業選びの軸を押し付けてくること、大手でなければ意味がないと言われたこと
公務員志望だったので併願で受けた民間企業ですが、内定を辞退した民間企業が、親の中でとても気に入ったらしく「公務員じゃなくて〇〇(辞退した企業)にした方が絶対良かったのに」と言ってくることです。就職直前の今でも言われるので、一生言われ続けると思います
学部
「どうだった?」という手応えを聞く質問をされたこと。内定をもらった後に就活を続ける選択をした時に、働く気のない企業をなぜ受けるのかと質問されたこと
■ 就活生をもつ親へのメッセージ
自分たちの気持ちを尊重した言葉や行動であればなんでも嬉しいので、もし自分たちが困っていたらそういった方向に寄り添ってくれるとすごく心が落ち着きます
私は一人暮らしだったため、親からサポートを受けることはあまりありませんでした。しかし、母からかけられた言葉のおかげで就活を乗り切ることが出来ました。もしお子様が就活で悩んでいたら、優しく言葉をかけてお子様のマインドを変化させるといいかもしれません
ちゃんと上手くやっているか不安だと思いますが、とにかく精神が弱っているので、否定はせずに肯定してあげることが大事だと思います
人間科学部
温かく見守ってくれることが一番です
就職活動インタビュー(AGU LiFE)
*掲載されている人物の在籍年次や役職、活動内容等は、特記事項があるものを除き、原則取材時のものです。