大学で交換留学を実現させる!
~若い時の苦労は買ってでもしよう – No pain, no gain.
2026 2.26
勇気あるチャレンジが想像を超える未来を連れてくる
異文化の中に飛び込み、地球規模で学びを広げる留学。自らの力を頼りに、言葉や文化の壁を乗り越えてこそ得られる成長があります。今回は、海外経験豊富な国際センター所長および職員と学生との対話を通じ、実際の体験談から具体的な留学準備までをご紹介します。
INDEX
▼ 留学で拓く未来の扉―異文化との出会いが人生を変える
【1】肌で世界を知り、「新たな自分」を見いだす
【2】留学の礎となるのは「目的意識」。予想を超える学びはそこから生まれる
【3】伝統を背景に、拡充を続ける青学の国際教育
【4】世界が「人生のフィールド」になる。留学で可能性の扉を開こう
【コラム】津田仙の精神を受け継ぎ、青山学院大学から世界へ学びに向かうということ
▼ 交換留学はこうして実現しよう―「留学の壁」から国際センター活用法まで
【1】目的と留学先を精査して「自分らしさ」のある留学を実現
【2】留学と就活の両立は可能? 対策を知って「留学の壁」を乗り越えよう
【3】成功のカギは「事前準備」。留学費用から国際センターの活用法まで
【4】“想定外”こそが成長のチャンス。自分の力で乗り越えた経験が宝物に
数字で見る青山学院大学の留学
交換留学のための
学内奨学金の受給率
約 64.6 %
学内奨学金申請者の
受給率*
*本学が日本学生支援機構(JASSO)海外留学支援制度に採択されている2025年度時点100 %
(2025年度派遣者)
「留学奨学金」
授業外の
“外国語会話の実践”
を後押しする
「チャットルーム」
≪利用者アンケート上位回答≫
外国語でコミュニケーションをとる機会を増やしたい80 %
語学力を向上させたい79 %
授業以外でもっと外国語を話す
練習をしたい75 %
交換留学希望者の
利用率
約 19.5 %
もっと
活用してほしい
留学サポート
「IELTS試験
報奨金制度」
英語圏の留学に不可欠なIELTS。国際センターが費用の一部を負担して受講できる対策講座、学内試験、報奨金制度と、学内でワンストップで完結。費用も準備も安心。
活用する価値、あります。
留学で拓く未来の扉―異文化との出会いが人生を変える
《写真左から》
国際センター所長
地球社会共生学部 教授
升本 潔
国際政治経済学部
国際政治学科 4年
(2025年度後期休学中)
【交換留学先】
ワシントン大学(アメリカ)
University of Washington
東京・私立青山学院高等部出身
滝本 智丹
【1】肌で世界を知り、「新たな自分」を見いだす
升本 滝本さんはアメリカのワシントン大学に留学されたそうですね。滝本さんはなぜ留学を希望されたのでしょうか。
滝本 国際政治・経済の観点から「今のアメリカ」を自分の目で見てみたいと考えたからです。世界情勢に大きな影響力を持つアメリカの現状を知ることで、より当事者意識を持って学びを深められると考えました。また、高水準な教育環境で刺激を受けたいと考え、ワシントン大学を留学先に選びました。先生の海外経験についてもお聞かせください。
升本 初めて海外渡航したのは大学4年生のときです。アメリカ西海岸への一人旅だったのですが、自分の英語が全く通じなかったことも含めて衝撃的な体験となりました。大学卒業後は、民間企業で4年間勤務したのち、国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊に参加し、ケニアで2年間を過ごし、その後JICAの職員となって本格的に国際協力の道へ進みました。
滝本 先生はなぜ、旅行ではなく青年海外協力隊という道を選ばれたのですか。
升本 文化や風土まで深く知るためには、その土地で生活すべきと思ったからです。その場所に住むからには社会の一員として地域に貢献するのが当然だと考えたので、結果的に海外協力隊という形を取りました。
滝本 実際、ケニアに住んでみていかがでしたか。
升本 村には、店はおろか水も電気もない。「することがない」という経験は初めてでした。それまでもアジアの発展途上国を訪れた経験はありましたが、ケニアほど予想を裏切られた国はありません。ケニアでは現地に溶け込むのすら大変でしたが、人生観が大きく変わり、そこから開発の仕事に就きたいと思うようになりました。
滝本 私も現地で生活したからこその発見がありました。ワシントン大学のあるシアトルはメジャーリーグベースボールのシアトル・マリナーズやスターバックス1号店などが有名ですが、日常生活の中で見えてきたのは多彩なコミュニティーでした。先住民文化を筆頭に、メキシコの「死者の日」*1、中国の旧正月、アイルランドのセント・パトリックス・デー*2などコミュニティーで実施されるイベントもさまざまです。私は専門科目に加えて、各国の伝統的なダンスの授業を履修していたのですが、先生が案内してくださった地元のカポエイラ*3スタジオは、ブラジルやヒスパニックと呼ばれる中南米にルーツを持つ人々の対話の場所ともなっていました。こうした経験から、アメリカは単に多様な人種が混在する国ではなく、小さな文化圏の集合体として成り立っている国であることが理解できました。
シアトルの桜の名所、ワシントン大学キャンパスの中庭(The Quad)にて。日本茶の試飲イベントを企画(滝本さん)
升本 現地の生活や人間関係に溶け込みながら学べるのが留学のメリットですね。私がケニアで特に印象的だったのは、自分が 「外国人」として圧倒的なマイノリティー側になったという経験です。ケニアはブラックアフリカ地域なので、現地の人々の中に協力隊の日本人がいると非常に目立つ。1km離れていても分かりそうなほどです。外見も生活習慣も、それまで自分が抱いてきた「常識」とは全く違う。自分や日本が世界の中心ではなく、あくまで自分は「数十億分の1」の存在なのだという実感は強烈でした。
滝本 私も自分が「外国人」になるという環境からは得るものがありました。留学当初は言葉の壁も厚く、友人もいないという孤立した状況で、「自分とは何だろう」と考えるようになりました。その後、現地で友人ができてからは、日本について尋ねられたり、彼らから見た日本の魅力を教えてもらったりしたことも多く、そうしたやりとりを経て次第に日本人としての自覚が生まれました。実は、留学前から「アメリカで日本文化を伝えたい」という思いがあり、日本で日本茶の講習を受けていました。アメリカでの生活に慣れてきた頃、思い切って寮の友人たちに日本茶を振る舞ってみると、勉強の合間の良い息抜きになると、想像以上に好評で、評判が広まりました。その後は国際交流サークルで2度お茶会を開いて、英語で日本茶の種類や特徴、急須でのお茶の淹れ方、茶道の作法、抹茶の点て方などを紹介しました。トルコ茶に詳しい留学生とのコラボ企画や、キャンパスのメインストリートで日本茶の試飲配布をするなど、多くの参加者と日本茶を楽しんだのは良い思い出です。
升本 それは良い経験でしたね。異文化の中で視点の転換を経験し、「日本」や「自分」を相対的に見られるようになるのも留学の大きな成果だと思います。
*1死者の日…毎年11月1日と2日に開催されるメキシコの祝祭。亡くなった人を偲び、生きる喜びを分かち合う、生者と死者の再会を祝う。
*2アイルランドのナショナルデー(3月17日)。5世紀にアイルランドにキリスト教を伝えた聖パトリックにちなんだ祝祭。
*3カポエイラ…ブラジル発祥の格闘技やダンスなどの要素が合わさった伝統武術。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されている。
【2】留学の礎となるのは「目的意識」。予想を超える学びはそこから生まれる
升本 留学の準備を進める上で、滝本さんが特に意識していたことは何でしょうか。
滝本 私は「現地で国際政治や経済の学びを“体感する”」という目的があったので、その分野の専門知識を蓄えていくことです。ちょうど留学期間がアメリカの大統領選に重なっていたので、この絶好のチャンスを逃すまいと出発前に専門書を大量に読み込んでいきました。本を読んだ上で、現地のアメリカ人のリアルな声に触れることで、事前にインプットしてきた知識が立体的になり、ますます学びが面白くなっていきました。そして、ワシントン大学では「History Of The American Presidency」や「Trump in the world 2.0」といったアメリカ政治に関する授業を履修し、過去と現在の視点から、アメリカ政治がどのような変遷を辿って、現代の情勢につながっているかを学ぶことができました。留学前に立てる目的は「おそらくこうなるのでは」という仮説に基づいた仮のものです。そしてその仮の目的は、現地での実体験を通して、少しずつ見直され、磨かれていきます。私は、「目的」とは、このように経験を重ねる中で育ち、形作られていくものだと思います。
2024年アメリカ合衆国大統領選挙の投票者パンフレット。滝本さんのアメリカ留学は、ちょうど大統領選挙と重なっていた
升本 まさにその通りですね。十分に準備を整え、留学の軸となる目的意識も持った上で、その予想をも超える出会いや発見がある、それが留学だと思います。
滝本 今はまだ、「自分が何を目指すべきか」が明確でなくても、「知らない世界を見てみたい」と感じる人は多いのではないでしょうか。私は、そうした探求心こそが人間の原動力だと思っています。そのきっかけとなる「目的」を見つけるひとつの方法として、自分の興味ある分野に「海外」という視点を掛け合わせてみる、というやり方も良いと思います。私の場合は「政治経済×アメリカの現状」という組み合わせでした。他にも「音楽×海外」「スポーツ文化×海外」「ビジネス×海外」など可能性は無限です。
升本 大いに共感しますね。私も、人間が一番成長するのは「これは面白い、もっと知りたい」と何かを追求していくときだと思っています。学生時代、私にとって未知の世界だったアメリカへの旅は、振り返れば苦労の連続でした。だからこそ、その大変さも含めてすべてが刺激的で、面白く、まさに今に至る「私の原点」になっています。初めてアメリカの空港に降り立ったときの、あの独特の空気の匂い、その瞬間の感覚は今も忘れられません。
滝本 挑戦には不安がつきものですが、多少の失敗は「成功までのプロセス」として事前に織り込んでおくことで前向きなものに変わると思います。初めて家族と離れ、異文化の中で1年間生活し、頼れる人もいない状況のなかで、数々の壁を乗り越えた経験は、私にとって一生の宝であり、揺るぎない自信の源になりました。そしてその体験は、これから先、どんな困難が訪れてもきっと乗り越えていける。そんな確かな手応えを与えてくれました。
【3】伝統を背景に、拡充を続ける青学の国際教育
滝本 そもそもですが、なぜ大学は「留学」という制度に取り組んでいるのでしょうか。
升本 異文化体験の教育効果は非常に高く、学びの場である大学が学生に提供する価値としてふさわしいものだからです。青山学院の源流となる3つの学校の創設者はいずれもアメリカの宣教師であり、創立当初からグローバル教育を実践してきたことは、青学の伝統そのものです。青学の黎明期を支えたサーバント・リーダーである津田仙も、本学のみならず日本の国際化に向け奔走した一人でした。幕府の使節団の通訳として初めてアメリカに触れたとき、きっと彼も「これは面白い!」と感じたのでしょうね。
滝本 現代よりもはるかに海外へのハードルが高い明治期に、積極的に異文化を吸収しようとした津田仙のチャレンジ精神には敬意を覚えます。彼の存在があったからこそ、娘の津田梅子も世界を見ることが出来たのですね。青山学院に息づく国際精神の背景を知り、その源流にこうした先人たちの行動力と志があることに、感銘を受けました。
升本 津田仙のスピリットが受け継がれている青学だからこそ、青学生には、あえて苦労を買ってでも若いうちに留学し、世界に触れ、自分の枠を広げてほしいと考えています。異文化での挑戦は、将来グローバルに羽ばたくための確かな土台となり、その後の人生を支える大きな力になるはずです。こうした考えを背景に、青学は大学全体として、より国際的な学びの環境を整えていくことを目指しています。多様化する学生の留学ニーズに応え、選択肢を広げるとともに、研究や教育の交流がさらに活発になることが期待されています。将来的には、海外協定大学も200校規模へと拡大し、新たに50件の教育プログラムを立ち上げる計画も進んでいます。これにより、協定校の学生たちと共に学ぶ機会や、国際的なテーマに取り組む授業などが増え、学生が世界を舞台に学び合う環境がより充実していくでしょう。これらの取り組みはまだ構想段階ではありますが、「単に数を増やす」ことが目的ではありません。地域や国の選択肢を大きく広げることで、学生が多角的な視点を身に付けられるようにすることが狙いです。例えば、日本という一つの視点だけでは「点」に留まっていた世界が、欧米へ視野を向けることで「線」となり、さらにアジアにも目を向けることで「面」として全体像が見えてくる。そんな立体的な世界観を、青学生一人ひとりに育んでほしいと考えています。今後の展開にぜひ期待してください。
滝本 私は「日本から見るアメリカ」と「アメリカから見る日本」では全く異なることに驚き、世界は一側面でないことに気がつきました。そして、留学先の授業をきっかけに、中南米や中東地域にも関心が高まり、自分なりの立方的な世界観が形作られました。帰国後の現在は、アジア太平洋・インド太平洋地域の安全保障を研究する佐竹知彦先生のゼミナール(ゼミ)に所属しています。面白いと思える国をたくさん見つけたことで世界が広がり、ゼミでの学びに深みが増しました。
升本 留学では新たな知識や経験が得られるだけでなく、自分の関心が明確になり、帰国後の学びの進化につながります。大学としてもできるだけ多くの学生に海外留学を経験してもらえるよう工夫を重ねています。
滝本 私は語学力などの関係で3年次からの留学となりました。卒業が延びることへの焦りもありましたが実際は杞憂でした。自分が留学で得られたものの大きさを考えると、仮に卒業まで5年かけたとしても興味のある方には留学をお勧めしたいと思います。
升本 近年はグローバルな人材を求める企業が増え、留学経験者向けの採用活動も盛んになっています。交換留学は4年でも卒業できるのが大きなメリットですが、卒業年度に捉われない留学計画にも視野を広げる価値はあると思います。
【4】世界が「人生のフィールド」になる。留学で可能性の扉を開こう
滝本 私は将来的には、開発協力やソーシャルビジネスを通じて、国際的な視点から環境問題の解決に貢献していきたいと考えています。今回の留学はその目標を力強く後押ししてくれるものになりました。私は留学を通じ、国や民族が異なっても言語が完璧ではなくても、何か一つでも相手と共有できれば互いに心を通い合わせることができると知りました。今では世界そのものが自分の「人生のフィールド」になったと感じています。
升本 いまや国際化は特別な人だけのものではありません。学生のうちに広い世界に触れることで、自らを相対化でき、多角的な視野や、知識・経験への意欲が育ちます。こうした経験はキャリアをより真剣に考えるきっかけにもなりますし、人生そのものをより豊かにしてくれるでしょう。留学はゴールではなくスタートです。多くの学生にぜひ有意義な留学を実現してもらいたいと思います。
津田仙の精神を受け継ぎ、
青山学院大学から世界へ学びに向かうということ
青山学院の歴史をたどると、新しい知を求め、世界へ目を開く姿勢が息づいている。その原点に、農学者・教育者として活躍した津田仙の存在がある。仙は、日本で最初の女子留学生の一人として活躍した津田梅子の父である。
仙は、身分を問わず才能ある者に学びの機会を与える佐倉藩の風土の中で育ち、若くして蘭学や英語を学んだ。1867年には幕府の使節団の通訳としてアメリカを訪れ、欧米社会の開放的な価値観に触れたことが仙の思想を大きく広げた。
帰国後、仙は日本における女子教育を志して来日したドーラ・E・スクーンメーカーを支え、1874年に青山学院の源流で最も古い学校である「女子小学校」の開設に尽力、校舎として自邸を提供するなど支援を惜しまなかった(青山学院創立記念日が11月16日であるのは、この開校日に由来する)。
さらに、梅子のアメリカ留学時の寄宿先を通じて宣教師ジュリアス・ソーパーと知り合った仙は、その影響を受けてキリスト教徒となり、1878年にソーパーが築地で設立した「耕教学舎」の活動も支えた。女子小学校と耕教学舎という二つの学校は、現在の青山学院を形づくる基盤となった。
仙の歩みは、学びが境界を越えて社会を動かす力を持つことを示している。世界と関わり、新たな価値観に触れることは、今日の学生にとっても自らの視野を広げる重要な経験となる。青山学院大学の学生が海外に羽ばたく意義は、まさに仙が示した精神の延長線上にあると言える。
交換留学はこうして実現しよう―「留学の壁」から国際センター活用法まで
《写真左から》
経営学部
経営学科 4年
【交換留学先】
ケルン大学(ドイツ)
茨城県立古河中等教育学校
亘理 優
国際部 国際交流課
(国際センター)
坂田 博希
総合文化政策学部
総合文化政策学科 4年
(卒業延期選択)
【交換留学先】
リュブリャナ大学(スロベニア)
東京・私立青山学院高等部出身
服部 伎沙
【1】目的と留学先を精査して「自分らしさ」のある留学を実現
坂田 本日はお二人の留学体験談を伺います。亘理さんはドイツに、服部さんはスロベニアに留学なさったのですね。
亘理 私は幼少期に家族でドイツに住んでいたので、大学ではドイツに留学したいと思っていました。その後、高校生の頃にドイツの移民・難民問題に関心を持ったことやドイツ語の語学力を磨きたいと考えたことで留学を実行しました。ケルン大学を選んだのは、まず、留学生向けの英語開講コースを履修することで、ドイツ語と英語の両方を学べる環境だったこと(2026年度以降は制度変更予定)。また、ケルン大聖堂やライン川といった周辺環境に魅力を感じたこと。加えて、ケルンが属するノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)州は移民や難民の割合が高く、ボランティア施設が多くあったことも選んだ理由の一つでした。
ケルンの象徴、世界遺産のケルン大聖堂は市内のどこからでも見える。寮から大聖堂が見える景色がお気に入りだった。夜のライトアップは昼とは異なる美しさ(亘理さん)
服部 私はヨーロッパ中部にあるスロベニアのリュブリャナ大学に留学しました。私にとって留学の最大の目的は、異文化の中に身を置き、文化によって異なる価値観を実感したいということでした。
そのため日本ではまだなじみの薄いスロベニアを選ぶことで、より個性的で自分らしい留学ができると考えました。リュブリャナ大学では、ヨーロッパならではの視点を感じられる「LGBTQの権利」に関する授業や、スロベニア人を対象とした日本語教育の授業などを履修しました。
スロベニアのブレッド湖。氷河湖の透明な水面は、空や森、日の光を映して色彩を変える。湖の中央に浮かぶ島には教会があり、その奥にはジュリアン・アルプスの山並みが広がる(服部さん)
坂田 ドイツやスロベニアなどの非英語圏には、治安や物価、奨学金制度といった点でメリットの大きい国々も多いので、留学先としてお勧めです。ヨーロッパは陸続きなので近隣諸国に足を伸ばしやすいのも良いですね。
服部 実際に、私はスロベニア留学中に25カ国に旅行しました。バスで国境をまたいだ瞬間に言語も雰囲気も一変するなど、面白い体験ができました。
【2】留学と就活の両立は可能? 対策を知って「留学の壁」を乗り越えよう
坂田 お二人が留学を決めるにあたって、なにか不安や悩みなどはありましたか。
亘理 私が一番心配していたのは、留学と就職活動(就活)の両立の問題でした。そこで、国際センターに通って相談に乗っていただいたり、青学のポータルサイトで知った「留学×就活」といったオンライン講義にも参加したりして情報を集めました。また、留学決定後に国際センターから希望者に提供される、前年度に派遣された先輩方の連絡先リストも活用し、ケルンに留学していた先輩方に質問をさせていただきました。こうして情報収集をした結果、安心して留学と就職活動(就活)を並行できました。
坂田 実際の就活はどのように進めましたか。
亘理 現地から志望先のインターンシップ(インターン)に応募し、帰国後にインターンに参加しました。「海外勤務のチャンスがあること」などを軸に就活を進め、ドイツの自動車関連事業を行うContinental Automotive Japan社(現Aumovio社)から内定をいただきました。
坂田 留学と就活の両立に不安を持つ学生は多いですが、オンラインやボストンキャリアフォーラムといった日英バイリンガル向けの就活イベントを活用すれば可能です。ただし渡航前からの準備や時差への対応は必須ですので、体調に留意しつつ頑張っていただきたいと思います。留学に関する悩みについて、服部さんはいかがですか。
服部 就活とも関係するのですが、私は「留学」と「4年間で卒業・就職」のどちらを取るかで悩んでいました。というのも、2年次で留学選考に初挑戦したものの、不合格だったからです。翌年3年次で選考を受け、4年次での留学となると、卒業時期や就活への影響を不安に感じていました。最終的には、社会人の知人から「迷っているなら行くべき。卒業してからの留学は本当に難しいから」と背中を押され、両親も賛同してくれたことから、4年後期から1年間の留学を決意しました。
坂田 実際に留学してみていかがでしたか。
服部 やはり留学して本当に良かったです。卒業延期を選択し、現在5年目ですが、心配していたような就活への悪影響もありませんでした。採用面接では留学の成果をきちんと伝えたことで、卒業の延期についても「決断力がある」「ユニークで面白い」と前向きに評価され、実際に内定もいくつかいただきました。
坂田 私も企業の採用担当の方と直接お話する機会があったのですが、留学が意義深いものであれば卒業の遅れを否定的に捉える声は皆無でした。私自身、学生時代は教職課程を履修していたので、4年で卒業することを優先して長期留学を諦めた経験があります。今思えば、あの時に国際センターなどに相談していればまた別の選択もあったかもしれません。4年で卒業できるのは交換留学の利点ですが、留学の目的が明確であれば5年かけてでも挑戦する意義は大きいと思います。
【3】成功のカギは「事前準備」。留学費用から国際センターの活用法まで
坂田 留学にはさまざまな準備が必要ですね。まずは留学費用について教えてください。
亘理 私は外部の奨学金(キーエンス財団の給付型奨学生)を取得しました。
服部 私は国際センターで紹介して頂いた「スロベニア政府奨学金」制度を利用した他、アルバイトで貯金もしました。スロベニアは物価が比較的安いのもありがたかったです。
坂田 留学先大学での授業料は、青学への学費を支払うことで原則免除となるのも交換留学のメリットですが、奨学金を活用することでさらに経済的な負担を軽減できますね。
そして、英語力を証明するためのIELTS(聞く、読む、書く、話すの英語4技能テスト)対策など語学面についてはいかがでしょう。
服部 私は「チャットルーム」が役立ちました。当初は自分の英語力に自信がなかったので、「恥ずかしい思いをするのではないか」と不安で利用をためらっていました。ところが、選考を通過し、留学を実現させていた友人に秘訣をたずねると、みんな「チャットルームだね」と言うのです。初回の留学選考に不合格だった悔しさをバネに、勇気をふりしぼって思い切って足を踏み入れました。すると、そこからは毎日チャットルームに通うほど英会話が楽しくなり、成績が大きく伸びました。
亘理 私は高校生のときにドイツ語技能検定を取得していたので、その結果を提出しました。また、ケルン大学の英語開講の授業のために、出発1カ月前にIELTSを取得しました。
坂田 国際センターは活用されましたか。
服部 はい。特に、留学の目的を明確化するときに相談に乗っていただきました。初回の留学選考では、自分の志望動機をしっかり言語化できていなかったという反省がありましたので、個別相談で客観的なアドバイスをいただきました。2回目の選考では十分な手応えがあり無事合格できました。
亘理 私は入学早々から国際センターに通い、奨学金や大学選びなどの相談をしていました。以前から自分なりに留学の目的は定まっていたのですが、国際センターの方や留学経験のある先輩との対話を重ねることで、自分の志望動機についても自信を持てるようになりました。
坂田 お二人のように、留学目的を整理したい、漠然とした悩みがある……といったときにも国際センターが力になります。留学の目的を明確にして、現地での経験をより意義深いものにしましょう。また国際センターでは学生の心身の健康のサポートを行う「ウェルネスサービス」を開設しています。海外経験豊富なカウンセラーが常駐し、留学中の挫折を未然に防ぐための支援などを行っていますので、留学に不安がある方はぜひ気軽に足を運んでみてください。その他、留学を考えている学生に対してお二人からアドバイスなどはありますか。
服部 簡単な日常会話レベルでも良いので、事前に現地の言語を学んでおくことをお勧めします。そうすることで、現地の方々と打ち解けやすくなり、行動範囲も広がります。私は大学の単位互換制度を活用し、日本で唯一スロベニア語を学べる東京外国語大学で学びました。ネイティブの先生から、現地の文化や生活についても貴重なアドバイスをいただけて、ありがたかったです。
亘理 自炊を含めた生活スキルがあると現地での暮らしに安心感が生まれますね。日本でスーパーマーケット等に通って商品の値段を把握しておくと、現地で物価の比較などができて楽しいです。
服部 また「日本」に関する知識も増やしておくと良いと思います。現地では、日本の政治や社会問題、アニメや食文化など幅広く質問されました。そこで自分の思いを伝えたり意見交換したりするのが面白く、異文化理解の一端となりました。
坂田 日本人が少ない環境では、留学生一人ひとりが「日本人の代表」として認識されます。自分の考えをしっかり伝えられるように準備しておくと留学体験がより深いものになります。
【4】“想定外”こそが成長のチャンス。自分の力で乗り越えた経験が宝物に
坂田 留学中の印象的なできごと、予想外だったことなどありましたら教えてください。
亘理 最大の試練は冬の日照時間の短さです。これは留学生に限らず、現地人も共通だと思います。ヨーロッパの冬は想像していた何倍も暗く寒かったので、気持ちが落ち込み気味になってしまいました。そこで新たに何か始めてみようと、ドイツ語で開講されている、日本の雅楽器の体験型授業を受講しました。生まれて初めて笙(しょう)や篳篥(ひちりき)を演奏したり、授業を担当する教授が自宅で開設している教室に通ったりと、日本の伝統音楽を通じてドイツ人の友人も増えました。日本にいたときは雅楽になじみがなかったので、こうした展開は我ながら意外でした。
留学中、亘理さんを支えた友人や家族からの手紙。寮の壁に貼り、不安やホームシックのときに見返しては、前向きな気持ちを取り戻していた。手前は寮の部屋の鍵につけていたキーホルダーで、ドイツらしくビールの栓抜を兼ねている
服部 私も、秋冬のスロベニアの暗さが想像以上に辛かったです。現地では「日本の影響が少ない環境で自分を磨きたい」と考えていたのですが、あまりの寂しさから、日本に関心を寄せている現地の学生と積極的に交流するようになりました。その結果「日本」という話題でつながる外国人の友人ができ、彼女たちとは互いの国の料理を教え合うなど、私の好きな「食」を通じた思い出もできました。
服部さんが所有するスロベニア料理の本。スロベニア料理を含め、友人たちと料理を作って異文化交流を楽しんだ
亘理 また、私が留学で一番大変だったのは寮探しでした。世界情勢の変化で燃料価格が高騰し、寮費が大幅に値上がりして、予算オーバーで別の寮に引っ越さざるを得なくなったのです。ケルンは簡単に寮が見つかる地域ではないこともあり、寮のオーナーとは毎日ドイツ語と英語で交渉を重ねましたが、議論は平行線で。意見が対立して緊張が続きました。引っ越しは非常に大変でしたが、行動力や忍耐力、外国人との交渉力など大いに鍛えられました。
坂田 それは貴重な体験でしたね。留学中は困ったことがあれば国際センターもメールなどで支援を行いますが、現地では「最後に頼れるのは自分」という場面も多くなります。亘理さんのように主体的に行動することでトラブルも成長のチャンスとなります。
服部 学内選考や卒業延期の決断、そして現地での学びまで、私にとっては留学に関するすべてが糧となりました。留学に対して不安のある方も、興味があれば必ず道を見つけられるので、ぜひ夢を実現させてほしいと思います。
亘理 私は留学に対して華やかなイメージが強かったのですが、実際は予想外の苦労もありました。けれども自分の力でトラブルを乗り越えた経験は就活や今後の人生にも役立つと思います。もちろん学習面でも成長でき、帰国後はドイツ語技能検定1級を取得できました。皆さんも充実した留学生活を送れるよう応援しています。
坂田 留学を通じて異文化に触れることで人生の選択肢が大きく広がります。留学を考えている方は、自分の将来像と、留学の目的をいま一度深く掘り下げてみてください。皆さんの留学経験が最大限に実りあるものになることを願っています。
留学現地レポート(AGU LiFE)
青山学院大学の交換留学生は、日本から世界へ挑む学生だけではありません。世界各地182校の海外協定校から青学に集まった受入交換留学生もまた、日本という異文化の中で日々、新しい発見と戸惑いを積み重ねながら学んでいます。
彼らの体験を通じて、私たちが海外に出て異文化で学ぶことの意味を考えることができます。
留学は、未来の自分への贈り物。
「人生を変える旅」に向けての第一歩は、国際センター / 学務課 国際交流担当 へ! お気軽にご相談ください。
■ 青山キャンパス17号館2階「国際センター」
■ 相模原キャンパスB棟1階「国際センター」※学務課国際交流担当
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