特集 1
Interview

保護者等の皆さま
へのメッセージ

学長から保護者等の皆さまへお伝えしたいこと

新年度が始まってから1カ月あまりが過ぎ、学生たちは生き生きとキャンパスライフを過ごしています。今回の記事では、本学の特色や教育方針をあらためてお伝えするとともに、保護者等の皆さまと本学を結ぶ取り組みである「青山学院大学後援会」「ペアレンツウィークエンド」についてもご紹介いたします。

学長

阪本 浩

1954年(昭和29)年生まれ。宮城県仙台市出身。文学修士(東北大学)。青山学院大学文学部史学科卒業。東北大学大学院文学研究科西洋史学専攻博士課程前期二年の課程修了。東北大学文学部助手、青山学院大学文学部史学科専任講師、助教授を経て、1999年教授に就任。その後、2016年に文学部長、大学院文学研究科長、2017年副学長を歴任。2019年12月青山学院大学学長に就任。

本学の歴史と学びについて

「青山学院大学の特色は?」と聞かれたとき、私はまず本学の歴史についてご紹介しています。建学から今日に至るまで、約150年にわたって歩み続けてきた歴史こそが本学の独自性を体現していると考えるからです。また歴史を大切にすることは、変化する時代の中でも常に建学の精神に立ち戻り、新たに軸を捉え直すことに通じます。

本学の源流は、明治初頭に米国のメソジスト監督教会から派遣された3人の宣教師が創設した3つの学校にあります。諸学校には英語と西洋の学問を志す人々が集まって国際的な校風が生まれました。そして、キリスト教の教えにもとづくこうした学びの場を礎として、青山学院大学が生まれたのです。このように、本学は最初から高度な専門教育機関として設けられたものではなく、その始まりはキリスト教の教えにもとづく全人的教育の場であった、ということが大きな特色と言えると思います。

この伝統にもとづいて、本学は「地の塩、世の光」というスクール・モットーに示されるような「社会に貢献できる人間」を育成することを教育の大きな目的としています。こうした豊かな人間性を育む上で、教養教育は大きな位置を占めます。教養とは、人生で何か迷いが生じたときや重要な価値判断を迫られたときに、大きな力となってくれます。

青山学院は1870年代初頭に米国メソジスト監督教会の宣教師たち(写真左からドーラ・E・スクーンメーカー、ジュリアス・ソーパー、ロバート・S・マクレイ)によって創設された3つの学校を源流としています

本学では独自の全学共通教育システムとして「青山スタンダード科目」を設けています。その到達目標は、「およそ青山学院大学の卒業生であれば、どの学部、学科を卒業したかに関わりなく、一定の水準の技能・能力と一定の範囲の知識・教養を備えているという社会的評価を受けること」です。本学の教育の柱とも言うべき「キリスト教理解関連科目」もここに含まれています。

青山スタンダード科目は、全学生が履修する全学共通科目です。知識や技能を柔軟に吸収できる学生時代にできるだけ幅広い学びに触れておくことが、その後の大きな可能性につながると考えたため、学部・学科や学年の垣根を超えて、科目が履修できるようになっています。

とはいえ、青山スタンダード科目の内容は決して初歩的なレベルにとどまるものではなく、専門教育への橋渡しとしての機能も果たしています。青山スタンダード科目で「教養・技能を広く」、所属する学部・学科で「専門分野を深く」学ぶことで、複雑な現代社会を生き抜く力を身に付けます。また青山スタンダード科目ではあえて“教養専任”の教員は設けていません。すべての授業は、各学部で専門分野を担う教員が議論を重ねて練り上げているものです。この姿勢にも「教員全員で教養教育を担う」という本学の理想が反映されています。

青山スタンダード科目では、これまでの教養教育を継承することに加え、新しい時代の学問も積極的に取り入れています。Society5.0社会に向けて、データサイエンスやAIについての全学的な教育も進めていくなど、社会状況に応じた先進的な取り組みを進めていきます。

青山スタンダード科目で「教養・技能を広く」、所属する学部・学科で「専門分野を深く」学ぶことで、複雑な現代社会を生き抜く力を身に付けます

もちろん、教養教育だけではなく、専門教育にも力を入れています。特に相模原キャンパスを中心とした理系の学びに関しては、本学の研究力アップのけん引役とすべく、ここ4年ほどさまざまな取り組みを進めてきました。2018年には学長をトップとした統合研究機構を立ち上げ、現在も最先端の研究が生まれ続けています。現代の学びは学際分野に広がっています。本学も「文理融合」と「国際性」をテーマに各種の研究支援をさらに進めていきます。

青山スタンダード科目および各専門教育は分野もさまざまであり、関連性もないかのようにも思えます。しかしその根底では本学の礎である「キリスト教信仰にもとづく教育」につながっています。それは、新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)や国境を超えた問題などによって大きく揺れ動いている今日の社会において、より一層の価値を示します。その長い歴史の中で、キリスト教は一定の価値判断のよりどころでありました。キリスト教は「書物の宗教」とも呼ばれるように、「信仰」と「冷静な学究」が矛盾なく両立するという文化的な特徴を持っています。そのため、激動の時代の中で人々が迷いを抱いたときに、キリスト教信仰にもとづく教育は、理性にもとづいて立ち帰るべき「基準点」としての役割を果たすことができるのです。

100年に一度と言われる教育改革が行われ、この数年で日本の教育環境は大きく変わりました。文部科学省が示す新学習指導要領の中でも「思考力・判断力・表現力」がこれまでになくクローズアップされています。変化する社会の中で、本学の入学者選抜も「自分で考えて問題を発見し、解決し、適切に表現する力」を最も重視するものへと改革を進めました。青山スタンダードに代表される本学の教育はこれらの「生きる力」の基礎になるものです。本学で学ぶ4年間を通して、青学生には自らの専門分野に加えて「青学でしか学べない教養と専門分野での力」を伸ばしてもらえることを強く願っています。

また本学の新たな展開として、2022年4月には、法学部に日本初のヒューマンライツ学科を設置しました。また、シビックエンゲージメントセンターを新設し、理工学部附置ライフサイエンス研究センターを設置するなど、本学は時代のニーズにも応えるべく、常に進化を続けています。

学長をトップとした統合研究機構を2018年に立ち上げ、現在も最先端の研究が生まれ続けています

学生生活に関するサポート

次に、学生生活に関する本学のサポートについてご紹介します。

学生生活部/相模原事務部学生生活課では「スチューデントセンター」に窓口を設け、学生の生活全般のサポートを行っています。また、奨学金や福利厚生の窓口業務、課外活動の支援なども学生生活部/相模原事務部学生生活課で行っています。

進路選択や就職活動のサポートは「進路・就職センター/相模原事務部進路・就職課」が中心となって進めています。本学では1年次からキャリア講座を開講するなど、早い段階からキャリアデザインの支援を行っています。進路・就職センター/相模原事務部進路・就職課は、在学期間の4年間を通じて各種セミナーや個別サポートなどを積極的に行っており、また約37万人もの校友の皆さまからは業界研究や交流カフェなどでの支援をいただいています。本学2021年度卒業生の進路決定率は89.5%、就職率は92.9%と高い実績をあげています(2022年3月31日現在)。

新型コロナ対策にも積極的に取り組み、安全な学びの場を提供しています。消毒や密の回避といった基本的な対策のほか、学内の空き教室やラウンジ等の共有施設の利便性の強化や情報機器の利用環境の整備にも努めています。

新型コロナ対策として始まったオンライン授業と従来型の対面授業についても、それぞれの利点を最大化できるよう検証を重ねています。繰り返しての視聴が可能なオンライン/オンデマンド授業は履修者が多い大教室型の講義に強みを発揮します。一方演習や実験などは対面授業のほうが適しているようです。とはいえ、やはり本学での学びの軸は対面授業にあると考えられますので、今後も可能な限り対面授業の割合を高められるよう工夫を続けていきます(昨年度は授業全体の7割を対面授業で実施)。また、障がい等により対面授業の受講が困難な状況にある学生や渡航制限等により日本に入国できない留学生など、新型コロナの影響下で特に配慮が必要な学生に対してもきめ細かい対応を行っています。

*学生生活に関するサポートの詳細は、以下の特集をご覧ください。

ゼミで使用する教室をスタジオにして、黒板を使った授業(社会情報学部 髙村正志准教授)

保護者等の皆さまに関するサポート

本学と保護者等の皆さまをつなぐ組織としては「青山学院大学後援会」があります。これは在学生の保護者等の皆さまおよびその他の有志の方々によって構成されているものであり、大学と皆さまとの連絡を密にして、本学の教育・研究に必要な事業を進めていくことを目的としたものです。その歴史は50年以上に及び、現在の会員数は約2万人となっています。主な事業内容としては、学生の課外活動等に対する援助、全学生を対象とする傷害保険への加入、奨学金事業への補助、ゼミナール活動のための補助、教育環境整備補助、近年では新型コロナへの対策支援、そして「ペアレンツウィークエンド」といったイベントの開催などがあります。

「ペアレンツウィークエンド」では、全国の保護者等の皆さまを対象とした説明会や個別相談会を実施しています。約50年続いている歴史あるイベントであり、大学執行部から皆さまに大学の近況をお知らせするとともに、皆さまからのご意見やご要望を伺うことでより良い大学運営に反映することを目的としています。

青山・相模原キャンパスで行われる「キャンパス開催」、全国12会場で行われる「地区開催」、コロナ禍より始まった「オンライン開催」、どれも保護者等の皆さまのお声を直接伺うことのできる貴重な機会であり、本学がとても大切にしているイベントです。学習の進み具合や進路の悩みなど、個別相談会でのご相談内容は多岐にわたります。たとえわずかな疑問と思われても、何でもご相談ください。皆さまの疑問に明確にお答えしてご安心いただけるよう、私たち教職員も努めて参ります。私も青山・相模原キャンパスに加えていくつかの地区会場に伺います。教職員一同、今年も「ペアレンツウィークエンド」でお待ちしておりますので、ぜひお越しください。

執行部紹介